第6話 宇宙電子工学研究室にて



 ジュリアーノ教授の部屋は、不在、の標識が点灯していた。マルセリーノは、宇宙電子工学研究室へ行ってみた。今日は休みの日なのか研究員達は誰も居なかった。然し、研究室の扉にロックが掛かっていなかったということは、誰か一人くらいはいるはずだ。マルセリーノは小さな電子機器が並んでいる実験台から、更に奥にある大型の電子機器が並んである研究室に向かって声を掛けてみた。


「おーい、誰もおらへんのー。誰かおるんやったら返事してほしいなぁ」


すると奥にある大型の装置の中から声がした。


「はーい、これ終わったら行きまーす」


暫くすると大型の装置の間からヘルメットを被ったペンギンが現れた。


「あのね、ジュリアーノ教授、探してんねんけど」

「あ、それ、私です」

果たしてヘルメットを脱いだペンギンはジュリアーノであった。ジュリアーノは改めて声を掛けてきたペンギンを見ると、

「いやーお久しぶりではないですか、統括教授」

「いやいや、久しぶりすぎて申し訳ない、で、これ」

そう言うとマルセリーノは、しらすの豪華詰め合わせセットを片方の空いている翼で指した。

「何んですかそれは? そんなお気遣いは無用ですよ」

「何言うてんの、数年前の無茶なこと考えたらこんなもんで済まへんやん」

「過ぎた事は無しにしましょう、ささ、私の部屋に行きましょう」

そう言うとジュリアーノは実験台に取り付けてある水道で翼の先を軽く洗うと、マルセリーノを自室へと招くように黄色い短い足で歩き出した。

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