#08 警察隊初陣

 自警団が名を改めて警察隊になって3カ月、護衛戦闘団が中心となって訓練をしていた。――と言っても、木剣を使った戦術強化演習だが・・・。

「エリザ、もう少し魔法を抑えられないか?カリザは気配を消す訓練追加な」

「違う、片手で撃つ。・・・そう」

「フィリスの指示が最優先だけど、背後に回っている敵を見つけたら必ず一言言って援護する事!」

 基礎訓練を終えた5人の他に、新たに入団した新人団員達の指導も行っていく。もちろん、基礎訓練後にエルネア班とリリア班、フィリス班という分け方で1班に4人という分け方になった。

 エルネア班は狙撃や状況判断能力を中心として教育するがリリア班は隠密行動や撹乱戦術を主とする中、フィリス班は万能戦術能力や分隊長としてのノウハウを惜しみなく提供するのが内容だ。

「――よし、各班。今日の訓練を終える、明日は4チームを作って模擬戦にする!以上、解散」

「了解‼」

 演習場から寮へと戻る道中、エルネアと一緒に戻っている時だった。俺達の背後から気配を感じたので、気づいている様子を出さずに放置する事にした。

****************

 3日後、警察隊にとって初陣となる事件が発生した。

「失礼します、ボス!」

「お、おおう。ビックリしたぁ・・・って、ああ。リーガルか」

 地下大教室でM14を作っていた所に扉をノックせずに警察隊になって規模も大きくなった元自警団が入って来た。

「3日前から女学院生が狙われている猥褻わいせつ事件が、学院長から依頼されました」

 3日前と言えば・・・、エルネアと一緒に戻っている時だよな?まさか――‼

「被害者数は?」

「はっ、もうすでに30名が――」

「30だって⁈」

「は、はい」

 ああ、俺はバカだった。あの時、視線を感じたなら確保しておけばよかったじゃないか!

 悔しさのあまりに台バンをしそうになったが、グッと堪えて平静を装うと「出動を許可する」と短く答えた。

 リーガルが部屋を出ていった後、念話を利用した無線機を取り上げてエルネアに繋げた。

「・・・あ、今どこだ?」

『ボス⁉りょ、寮内ですが、どうかしましたか?』

猥褻わいせつ事件が学院長から依頼された、警察隊を派遣したが正直に言って不安だ」

『要するに、援護ですか?』

「ああ、そうだ」

『りょぅかぁい!』

 フィリスは無線を切って、作業に没頭し始めた。

****************

 フィリスから出動許可を貰ったリーガルは、新人も含めた10人を引き連れて学院の屋根に陣取っていた。そこに、エルネアが率いる狙撃部隊が合流した。

「警察隊となった自警団に死角はない・・・って、エルネア班長⁈」

「あ、いいよー。敬礼しなくても、ボスからの連絡届けに来ただけだから」

 エルネア率いる狙撃部隊の銃構成はM82A1を1丁と試作型のM14を4丁という構成だ。

 M14は5・56×45ミリNATO弾を20発使用する単発狙撃銃マークスマン・ライフルだ。アメリカ軍が第二次世界大戦時に使用した銃であるため、サバゲーマーなら誰でも使う武器だ。

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