#06 ブート・キャンプ

 教室に戻ると、学院長室で貰った書類を2人に見せて、今後の事を相談していた。

「――それで、顧問は学院長直々に担当するらしい」

「ワクワクしてきたよ~‼」

「ん・・・ボスは最強」

「そう?僕は、まだ半人前だよ?」

「いやぁ~、フィリスはもう自覚したほうが良いよ。もう、学院最強の先輩を圧倒しうる力を持って居るしさ~」

「大げさだよ。話を戻すよ、2人にはこの軍団名の意味が分かる?」

「いや・・・」

「さっぱり」

 2人は考えるようにして見つめ合い、首を傾げた。

「ははは・・・、意味は護衛も引き受ける戦闘団という意味だよ。まぁ、この学院に存在している自警団よりも強くならないとダメだけどね」

  ――バンッ‼

「――あたしらよりも強くなるって?馬鹿じゃないの?」

 その時、魔術杖を肩に乗せて赤い眼帯をしている女学院生5人が扉を蹴破って入って来た。いや、暴走族かよ・・・。

「生意気を言ったのは、誰だい?まさかとは思うが、リリア。テメェじゃ、ないよなぁ?アアン⁈」

 ヤンキー×暴走族ですか、おたくらは⁉

「メンチ切って居るンじゃねぇぞ、テメェ!」

 ドン引きしていた俺をメンチ切っている顔だと思ったらしいので、覇気も込めた声で「なんですか?」と聞いたら一瞬空気が変わった。あ、やったわ――この空気。

「い、いい度胸しているな。テメェ」

「――それと、ここ。教室なンで、扉。元に戻してから、また来てください!」

 すると一斉に背後を向き、小声で何やら話し始めた。

「・・・だ、団長。こいつ、メンタル強くねぇか?」

 いや!聞こえていますよ~、そこの5人。

「あ、ああ」

 団長さんもたじろいでいるの⁈

「作戦会議ですか?なら、外でお願いします。それと、宣戦布告をしたという判定で1週間後、貴方達と決闘しますが?」

 笑顔で告げたはずが、5人の顔が恐怖で歪んでいた。

「お、覚えていろよ!この学院を守る資格があるのは、あたしらの方だからな‼」

 5人は蹴破って入って来た扉を壁に立てかけて、逃げて行った。

 エルネアはこの件以来、俺を名前では無く「ボス」と呼ぶようになった。

 しかし、期限は1週間しかない。

 なんとかして、2人を戦力になるほどに育てないといけない。――よし、あの方法で行こう!

 目を輝かせているフィリスを見た2人は、何か分からないまま首を傾げていた。

****************

 翌日の放課後。演習場に2人を呼び出して、1週間限定の特別訓練ブート・キャンプを通告した。

「く、訓練ですか⁉」

「ボスと一緒・・・、襲われる危険」

「――そうそう。夜中にコッソリと・・・って、誰が襲うかっ!――まったく、リリアは妄想が酷いよ。はぁ~・・・」

 大きなため息を吐いて、「じゃあ、始めるよ」と言って2人にある物を手渡した。

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