七、誘い

「アリスさん、俺とパーティーを組んでくれないか!」


 ギルドでアリスから何でもしますと、言われたときに思いついたことをそのまま言ってみた。


「でも私は弱いです。まだ冒険者ランクもFランクで、マイル様の足元にも及びません。それに……」


 彼女の言いたいことは分かる。自分が俺の足で纏いになってしまうといいたんだろう。


 だけど、


「アリスさん、少し俺の話を聞いてくれるか」


 アリスは俺の言葉にコクリと頷き、何も言わずに頷いてくれた。

 

 それから少しの間、昨日俺がケイルにパーティーを追い出されたことを告げた。それだけでなく、本当は少しの間誰ともパーティーを組みたいと思っていなかったこと、アリスに出会ってその考えが変わったことを。その話を聞いたアリスは、


「マ、マイル様」


 目から涙がこぼれる。俺の話を聞いて涙を流してくれている。


「そんな、ごとがあっだのに、わだしのごとをだすけてくれるにゃんて」


 必死で目からこぼれる涙を拭きながら話してくれる。


「ありがとうなアリスさん。俺の事で涙を流してくれて」


「そんな」


 少し嬉しかった。俺の事を本当に知る人はこんな風に俺の事を思ってくれない。むしろ人ではない者を見る目で見てくる。昔それでつらい思いを幾度となくして来て、ケイル達からもそれが理由でパーティーを追い出された。


 涙が止まると、


「マイル様は凄いです。自分もつらい思いをしているのに、私の事を気遣ってくれています。それにパーティーを組もうとまで言ってくれました」


「俺は凄くなんてない。それにアリスさんに会って少し救われたと俺は思っているんだ。だからこそ一緒に冒険者をしていけたらいいかなと思ったんだ」


「そうだったんですね。本当にこんな私でいいんですか? まだ冒険者になったばかりで弱いです。マイル様のような魔法も使えません。足で纏いになってしまうかもしれません。それでもいいですか?」


「ああ、いいよ。それにまだこれからじゃないか。アリスさんには無限の可能性がある。これからどんどん強くなれるよ」


「はい、ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします」


 少しアリスの顔が赤いような気もするが俺の気のせいだろう。


「ああ、こちらこそよろしくな。それと様付けはやめてくれ、これからは同じパーティーの仲間だろ」


「はい、ではマイルさんも私の事はさん付けではなく、アリスとお呼びください」


「分かったよ」


 そんな感じに俺達は食事を楽しんだのだった。それから明日の予定を立てて店を後にするのだった。

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