第18話 祝福と不穏な空気

良い事をした後は気分が良い。

しかし、今更だが兵士やっちゃったな。まぁなるようになるか。一応世話になってるエイトには報告しておこう。

そろそろ、良い時間だろうし拠点に戻るか。


「ただいま」

「おかえりー」

「ああ、ザクさん。そろそろ行きますか?」

「ああ、そうだな。っとその前に今2人だけ?エイト達は?」

「ガイアスはギルドの指導だよん。アレッタは多分図書館じゃないかなー」

「そして、リーダーはペナルティでギルドの掃除です」


なんだよ、ペナルティって…何かやらかしたのかエイト。

居ないなら仕方ない、夜には帰ってくんだろ。


「何か用事でもありましたか?」

「いや、良いわ。じゃあ、さっそく案内してもらえるか?」

「はい、では行きましょう。サシャ、留守番よろしくお願いしますね」

「かしこまりー」


ロジックと連れ立って教会へ向かう。

途中ロジックから教会の成り立ちやら有難い説法があったが適当に相槌だけ打っていたら、見抜かれてしまった。

エイトの周りは信仰心が足りない人が多過ぎるとよ。

神か、あの爺さんが言ってたやって欲しい事も謎だな。等と考えているウチに教会に着く。

真っ白な外壁に太陽の形をしたシンボルが付いている。


さっそく入ろうとするとロジックから止められ入り口じゃ無い法へ誘導される。


「こちらから行きますよ」

「んん?入り口はココなんじゃ?」

「普通はそうですが、今日は私が一緒ですので」


関係者専用と思われる入り口から入り、ロジックがその辺にいた聖職者に声を掛ける。そしてちょっと待って下さいと言い残して、聖職者と一緒に何処かへ行ってしまった。ボーっとしていると、ロジックが戻ってきて手招きをしてきた。

案内された部屋の前に立つ。


「ザクさん、ではこの部屋へお入り下さい」

「はぁ、ココで良いのか?」

「ええ、中にいる人に祝福を受けに来たとお話下さい」


つーか、ココって何か他の部屋と違って豪華な扉なんだけど…お偉いさんの部屋なんじゃねーのか?


とりあえず、扉を叩いて入室する。


「失礼しまーす…」

「ようこそ、聖神教の教会へ。ワシは当教会の責任者のワグナスじゃ」


(おいおい、思いっ切りトップじゃねーか…どうすんのよ)


「あー、ザクルードです。今日は異能があるかどうか見てもらう祝福を受けにきました」

「ロジックから聞いておる。…全くあやつも急に冒険者になるなどと言って出て行ったが、こういう時だけ良い様にワシを頼りおって…」

「はぁ…なんかすみません」

「っと、すまんな。年を取ると愚痴が多くなってしまってのぅ。で、祝福だったな?」


何かロジックも問題児なのか…結構まともな人だと思っていたのに。

ワグナスって爺さんは、ちとそこで立っておれ。と言い何やら呪文のようなものを唱え出した。


「うお!?」


呪文を聴いていると、俺を中心に床に魔法陣のようなものが現れる。

コレが法術って奴か…異能と何が違うんだ…?


その魔法陣が、ホログラムのように浮かび上がり俺を包もうとした時に弾けて、魔法陣は消えた。


「……さて、どうじゃ?」

「え? いや、特に何も…」

「さようか…残念ながらお主には異能は無いようじゃ。気を落とすで無いぞ、異能何ぞ無くともどうとでもなる」


あっさり終わったなぁ。

そうか、異能は無いか…ま、それならそれで構わないな。

ビーム出せる異能発現したら、ギャ○ック砲とかアクマイ○光線とかやりたかったけど残念だな。


「いえ、わざわざ責任者のワグナスさんの手を煩わせてしまい、申し訳ありません。ありがとうございました」

「何、ロジックの奴の頼みじゃからな。特別じゃぞ?」


とお礼を言い、部屋を出るとロジックが待っていた。


「どうでした?」

「いや、才能無かったよ。残念残念」

「そうですか、ザクさんからは何か特別な気配がするので発現するかと思っておりました」

「ま、1000人にて数人なんだろ、仕方ないさ。俺は戻るけどロジックま戻るか?」

「いえ、少し教会で雑用がありますので申し訳ありませんがココで」

「そか、じゃあな」


とりあえず、戻って鍛錬でもするかなぁ。







---


「失礼します」

「ロジックか…」

「発現しなかったようですね。出るものとばかり思っておりましたが」

「いや…祝福は完遂せんかった。弾かれたのじゃよ…」

「!? それは……」

「そうじゃ、文献に記録されている事柄と同じじゃ」


かつて、同じように祝福の魔法陣が弾けた事がある。

600年前、その者は英雄となり世界に蔓延る魔物を退治し、当時では考えられなかった技術を編み出し多いに人類の発展に貢献した。

200年前、その者は人類の敵として世界を恐怖に落とし入れ、危険と判断され世界中が協力し葬り去られた。

そして、今日。





彼がどういう存在になるのか、まだ誰も分からなかった。

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