女勇者は男物の下着を穿くと最強です

さいとう みさき

第1話:呪われてしまった!


 「はぁ、なんでこんなに洗濯物が多いのよ?」


 あたしソミア十五歳。


 今日も自宅警備員自由業をしながら働かずもの食うべからずとか言われて家事をさせられている。

 日課の洗濯物をしに共同の洗い場に向かっている。


 ぶわっ!


 この時期にしては珍しく突風が吹いた。

 

 「きゃっ!」


 スカートがひるがえり、下着乙女の恥じらいが見えちゃいそうになるのを慌てて押さえる。

 しかしそれがいけなかった。

 持っていた洗濯かごを落としてしまい、盛大に洗濯物がまき散らかる。



 「ああぁっ! あたしの下着乙女の恥じらいも入っているんだった!!」



 慌てて籠を拾い上げ洗濯物を回収する。

 もし使用済みの下着乙女の秘密なんかが誰かの手に渡ったら恥ずかしいなんてもんじゃない!


 きっと、はぁはぁいけない事されちゃうわ!!


 あたしは慌てて洗濯物をき集め洗い場に行って洗濯をするのだった。



 * * * * *



 「うーん、これって誰のだろう?」



 洗濯が終わって洗い物を干しているとお父さんの下着じゃない下着が混ざっていた。

 だってお父さんこんなにウエスト細くないし、布地だってものすごくいいやつ。

 見た感じ、若い男の人の下着のようなんだけど……


 「だ、誰のだろう? でもそんな事よりこれどうしよう……」


 町娘の私が洗い場で持ち主探すわけにもいかないし、そもそも男物の下着を持ち歩いてさ迷う私って……


 「やめやめ。誰のか知らないけど捨てちゃおっと!」


 持ち上げた男物の下着。

 あたしはそれを広げて何となく穿いてしまった。


 だって、女モノと違ってぴっちりしないし、短いズボンのようだし……


 そんな出来心だったあたしはその時のあたしを殴ってやりたかった。

 その下着はだったからなのだ!!



 こうしてあたしは恥ずかしい格好のまま脱げなくなた呪いのパンツを何とかしてもらうために神殿に向かったのだった。


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