第15話 改造戦士・超遺伝子獣

クロエは模造兵士の様子を見て溢れ出る感情の波に飲まれた。彼女達はある意味クロエ達の姉妹とも言える存在だ。自分の遺伝子データも組み込まれた兵士がたくさんいる。複雑な面持ちだった。ブラックマンバは彼女達を量産してバラ撒くことで、人造人間部隊を作り上げてきた。その中には当然クロエ達の遺伝子も組み込まれている。優れた世代を元にして遺伝子改造を重ねて、人を超越した生命体となった女たちには哀れみしかない。まだ年若い娘たちだ。


「私にとってもただ事ではないな。」


彼女はここに集められた特生兵の境遇を思うととても心が痛んだ。彼女達には誕生の過程さえなければごく普通の人生を歩めたはずだ。呪われた宿命を背負わなければ。


「殲滅か…出来れば殺傷したくはないが、無力化はしなくてはな。」


クロエにも同胞を愛する心はあるが、任務のためならば仕方がない。心を鬼にする。


(自分の運命を恨め)クロエはコピーされた大量の特生兵の生命活動を停止させるために動かなければならない。


要塞の山に隠された思わぬ真実にクロエは困惑したが立ち止まってはいられない。


クロエの遺伝子も組み込まれているとなると相当な恐怖になる。軍団や師団に匹敵する戦闘能力がある女たちがこんなにたくさんいては末恐ろしいことは容易に想像できる。早いところ無力化したほうが得策なのだ。


「悪く思うな、妹たち…」


クロエは十字をきると、室内ごと破壊する準備に取り掛かるのだった。


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