第2話 カーテン

 カーテンを開けるのは私の仕事だ。しかし起きてすぐには開けない。夫が起きて部屋の電気をつけたら私はカーテンを開ける。それがいつの間にかできたルーティーン。

 カーテンを閉めるのも私の仕事。だが私はカーテンを閉めるのが下手だ。だから寝る前に夫が仕上げをする。夫は文句を言いながらピシャリと隙間なく閉める。

 夫は光に敏感だ。カーテンは絶対に遮光、眠る時はアイマスクを装着。そのためカーテンの閉め方にはうるさい。

(アイマスクをつけるなら別に良いじゃん)

と私は思う。言葉には出さない。

 ある日

「今日のカーテンの閉め方すごく良い」

と夫が言った。

「これ昨日のまんまだよ」

「え、じゃあ俺じゃん」

と言って夫は笑った。私も笑った。

 今日も私は夫の起床に合わせカーテンを開ける。日が暮れたら閉めて、寝る前に夫が仕上げてくれることだろう。小言を添えながら。

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