γ 本の虫
「......ん」
「誰か来たみたいだね。しっかり丁寧にオモテナシしないとな」
二人はそう言って、訪問者を迎えるためにロビーへと向かった。
「ようこそいらっしゃいました。当館は蔵書数およそ10000冊、うちちゃんと読めるのは2000冊ほどの図書館でございます。どのような本をお探しでしょうか?」
妙に芝居掛かった態度で出迎えたのはすらりとした体躯の長髪の青年だった。どちらかというと宝塚にいそうな人だった。
「ちゃんと読めるのはって?」
「はい。仰る通りちゃんと読めるものです」
どうも話が噛み合わない。
『こんな怪しい変なヤツ相手にしないでさっさと探すのだ。ここにはあるのだろう?』
「あるにはあるんだけどさ、この人が言ってることを考えると読めるかどうかわかんないよ?」
「なるほど。あなた様も憑いているのですね。でしたら特別な場所へご案内しましょう。そこであればきっとお探しのものも見つかるでしょう」
紙が散らばった床の上を音も立てずに歩いていくので、仕方なく付いていくしかない。
「改めて、ようこそ我々
「......ん?なんですかそれ」
「......そこからですか?まぁわからなくても仕方がない。説明して差し上げましょう、
曰く、世界的に聖霊が広がったために生活がままならなくなった人向けの支援団体だそうだ。人によっては、狩られる側の人もいるだろう。基本的には聖霊は聖霊のヨウブンを食べて生きる。だからこそ食べられないために、食べるために特殊な能力を身に付けている場合が多いが、全くもって戦闘向きではない能力もあるわけだ。そういった人たちの命が奪われないように保護する、その対価として労働元として雇っているそうだ。塵も積もればといったところで各々が銃や刀剣を持って、感染者に立ち向かえば、満腹とまではいかないが充分に生きられる量のヨウブンは摂取できるらしい。
「と、まぁ概要はこんなところさ。それでだ。ここを君へ見せたからにはどちらか選んでもらいたい。守るか、守られるか。好きな方を選びたまえ」
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