05

~~ベルク視点~~


一方こちらはブルテルス公爵邸の中にあるアルーバ別邸である。


深夜にも関わらずアルーバ別邸の中には数人の人影があった。


その中にベルグとイザベラの姿があった。


「まずいな、ダルス国王が親父を見舞いたいと言ってきている。今国王が会いに来られたら非常にまずい。」


「仕方ありませんわ、大急ぎで事を進めましょう。すぐにとりかかれば国王が来る前に葬儀を執り行えるはずです。」


「ああ、そうだな。」


「使用人が使えないっていうのはなかなか面倒なもんだな。」


「仕方ありません。ブリテルス公爵家の使用人達は協力しないはずですわ。」


「あんな汚い連中を使わなければならないとはな。」


ベルグが大声で怒鳴りちらした。


「おい、こっちだ!!!はやく出てこい!!!」


すると貧相な姿の男達が数人やって来た。


貧相な身なりの男達はベルグに尋ねた。


「ダンナ??俺達は何をすりゃいいんですか??」


「庭を掘り起こせ!!あのセリスの木の下辺りだ。」


貧相な男の一人がベルグに尋ねる。


「掘り起こす??こんな夜中に何を掘り起こすんですか??」


ベルグが大声で怒鳴りつける。


「つまらない詮索をするな!!!お前らはこれが目的だろうが!!」


するとベルグが貧相な男に金貨を投げつけた。


「へい、確かにそうですね。」


貧相な男達は金貨を拾うとベルグの指示通りに作業を始めるのだった。


ベルグがイザベラに言った。


「こうなったら遺体を掘り出した後で、すぐに国王に死亡の報告を出すか。」


「そうすると遺体を見せて欲しいと言ってくるかもしれませんわ。腐敗した遺体を見られたら色々と面倒です。死亡報告と葬儀ほぼ同時にやった方がいいはずです。そして葬儀終了後すぐに国王に公爵家相続の許しをもらいましょう。それでベルグ様が公爵となれますわ。」


「そうだな。」


「それはそうとあいつらは大丈夫か?あの下民共が口を滑らしたりしないだろうな?」


「あいつらは??」


「イザベラの為に屋敷の前にいた下民共を金で雇っておいた。」


「でしたらこういうのはどうですか?仕事が終わったらあいつらを始末するんですの。ちょうど公爵を殺した犯人が必要ですしあいつらに罪を被せればうまくいくはずですわ。国王には賊が公爵屋敷に侵入したと言えばあのボンクラな国王なら疑いもせずに信じるでしょう。」


「それはいい手だ。さすがはイザベラだ。」


「はい。」


「公爵とメルタスを始末した今、もう誰もベルグ様が公爵になる事を阻めませんわ。」


「バカ親父を殺してこのベルグ様が公爵家の跡取りとなる。生き方を改めなければこの俺様を後継者から外して弟のメルタスに継がせるとかぬかしやがってあのバカ親父。このベルグ様よりすばらしい後継者がいるかっていうんだ。メルタスもメルタスだ!!兄の俺様を立てればいいものをあのバカ親父とグルになりやがって!!」


「ねえ私の言う通りにして良かったでしょう?」


「ああ!!イザベラのいう通りにしてよかったよ。これでこのベルグ様が公爵になれる。」


「そうでしょう。」


「イザベラと出会わなければ、バカ親父やあのダメ女にやりたい放題されているところだった。」


「全くあの女も困ったものよね。」


「全くだ。親父とメルタスの遺体を埋めたアルーバ別邸に居座りやがって!!!おかげで遺体が全然掘り起こせなかったんだからな!!」


「あの女、今どうしてるかしらね??」


「きっと自分の惨めさにぶざまに泣きわめいてるに決まってる!!」


「いいざまですわ。そもそもあんな無能な女は公爵家にはふさわしくなかったのよ。公爵夫人などあんな女にはとてもつとまらないわ。」


「そうだな、あんな女はこのベルグ様には不釣り合いな女だった。イザベラのようなすばらしい娘でなければだめだ。」


「そうよ、あの女は身の程をわきまえないダメすぎる女だったのよ。苦しんでくれていい気味だわ。」


「全くだ。あのでしゃばり女は惨めな日々がお似合いだ!!しかしあのダメ女の惨めな姿をこの目で見れないのは残念だがな。」


「ねえそれなら事が終わったら、あの女に嫌がらせをしてやらない?私達の人生を奪ったダメ女なんだから!!」


「人生を奪った?どういう事だ??」


「あの女さえいなければベルグ様はもっと早く公爵になれただろうし、私はあの女がいなければもっとはやくベルグ様の婚約者になれたわけ、だから私達はあの女に人生を奪われたも同然なの。」


「確かにその通りだ。あのダメ女め!!!俺達の人生を奪いやがって!!!」


「そうだな!!よし!!俺達の気が済むまで盛大にあの女を困らせてやるとしよう!!」


「待ち遠しいわね!!」


「全くだ!!」


「はっはっはっ!!」


するとどこからともなく声が響いてきたのだった。


「心の底まで腐ってますね。あなたたちは。」


「誰だ??」


「やっぱりとんでもない事をしちゃってたんですね。」


このベルグ様の目の前にはあのダメ女の姿があった。


「ダメ女、なぜここにいる??」

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