帰還への応援コメント
〇良かった点
・世界観設定
迷い込んだ不思議な地獄、個人的には芥川龍之介の「山月記」を彷彿といたしました。
「月明かり」にて出てきた腐った体の生命体との遭遇、謎の少女、帰還後の草原の描写が迷い込んだ世界と現実の違いを際立たせており、ホラーさをより感じました。
・一人称描写
一人称描写が上手いと思います。この描写が苦手な人でございますと、相手の説明などで相手目線の描写が描かれていたりするのですが、@Rodoki様の場合、相手も主人公が読み取れるだけの情報量で描かれており、読んでいて違和感がございませんでした。
〇悪い点
・一文字目
以下は書き手としての意見でございます。
第一話「目覚め」一行目の鍵括弧、その後の段落の一文字目など、小説の字下げ等がされていない点が多く気になりました。
もし、ルールなど気になる場合は、カクヨム作家の芥葉亭子迷様など、多くの方がラノベ小説投稿指南用のエッセイを投稿して下さっているので、参考にしてみるのも良いかもしれません。
ですが、これはあくまでも書き手としての意見です。
読み手としては特に違和感はございません。このままでも大丈夫と思います。
〇総評
短編として、すっきりしていた素敵な作品でございました。
迷い込んだ世界での不思議な体験があることで、最終話での「誰かにとっての心地よい世界」という言葉が読者にも問われる構造となっており、「心地の良い世界」とは一体なんだろうと考えさせられました。ある種哲学的な、訴えかけの上手い作品でございました。
素敵な作品をありがとうございます。
影ながら、今後の執筆活動を応援しております。
作者からの返信
丁寧なアドバイスをしていただきありがとうございます。
感謝します。
帰還への応援コメント
こんばんわ、うたまるです。
TwitterのRT読みにご応募いただきありがとうございました。
早速ですが、以下感想です。
◯良かった点
・文章のまとまりの良さ
必要なことが必要な分だけまとまっていて読みやすい良い文章。
8000文字という短い文字数の中に、プロットが過不足なく収まっている。
一見シンプルだが、「過不足の無いシンプルさ」というのは意外と高い技術を要する。
作者の実力が存分に発揮されている。
・テーマに対する舞台設定の巧みさ
地獄歩きという舞台設定がこの作品で伝えたいテーマとうまくマッチしていると思う。
リアリティを捨ててフィクションに全振りするのは、このテーマに対しては良い思い切りだと思った。
発想に光るものがある。
◯気になる点
・主人公の地獄前と地獄後の変化をもっと描写してほしい
この物語は「行きて戻りし物語」の典型例だが、その割には主人公の変化が曖昧。
「主人公が何かを経験して、外面的行動・内面的思考が変化する」のが小説の基本だが、この作品の場合「主人公の心の中に新しい考えがぼんやりと残った」ところで終わってしまっている。
地獄を巡る前の主人公はどんな人物で、地獄から抜け出た後に主人公はどのように変わったかを具体的にプロットに落としてほしかった。
ディケンズの「クリスマス・キャロル」を例に取ると、主人公のスクルージ爺さんは最初頑固で偏屈な人物として振る舞うが、三人の幽霊と出会うことで、最後には道行く人に挨拶し積極的に寄付を行う好々爺へと変化する。
このように、「行きて戻りし物語」では「主人公がどのように変化したか」が大事。
作品のテーマ(≒作者の主張)を提示して終わりにせず、主人公の行動が具体的に変化するところまで考えてほしい。
・改行の意図がわからない
PCブラウザでこの作品を読んだ時、改行が変なところで入っていて気になった。
なにかの意図があるのかと考えてみたが、正直この作品からはその改行の意図が見えない。
もしかしたらスマホから見た時に見やすくなるような工夫なのだろうか?
ともかくも改行の意図が分からず困惑した。
◯一言
文章がこなれていて読みやすく、綺麗にまとまっていました。
作品のテーマも捉えやすくて良かったです。
反面、テーマの提示が強調されすぎて、主人公の変化(キャラクターアーク)の描写が少しおろそかになっています。
地獄前、地獄後で主人公がどのように変化するのかを意識するともっと良くなると感じました。
面白い作品を読ませていただきました、ありがとうございます。
作者からの返信
まず最初に丁寧なアドバイスをしていただき
ありがとうございます。感謝します。
次に改行の部分に関してですが、自分は下記の文のような
(それが俺にとって一番大事な部分なの
だ。)
中途半端な改行にならないために、
一行ごとの長さが同じになるようの調整したつもりでしたが、
それがかえって読みにくくなっていたのなら申し訳ありません。
そして主人公の変化の描写に関してですが、
ここはあえて主人公自身に大きな変化はないように描写しました。
「クリスマス・キャロル」のような主人公が自分の性格等が原因で
生活に幸せを見いだせていない設定であれば明確な変化の描写が
必要だと思いますが、この作品では主人公は元々自分の性格に対して
それほど引け目は感じていないという設定であったため、
特に主人公の性格や考え方が大きく変化したといったような
描写はしませんでした。それにたとえ現実でこの作品のような
衝撃的な経験をしたとして、全員が全員自分の性格や生活等に
大きな変化が現れるかと聞かれれば、「それは違うな」とも思ったため、
この作品では「異世界(地獄)での経験を通して主人公の考え方に
多少変化はあったが、劇的な変化とまではいかなかった」というような描写にしました。
最後になりますが、繰り返し丁寧なアドバイスをしていただき
ありがとうございました。感謝します。