恋愛と百合のその先へ

安易に「感動する恋愛もの」だとか、「尊い百合もの」だとか、そんな言葉で括ってしまいたくはない。
この作品は、この世界で生き辛さを感じる人たちを全肯定してくれる。すべてのマイノリティの救いとなる物語だと思った。
ただその救いを得るのも容易ではない。最後に渡される選択肢に、迷わず頷ける人は少ないだろうと思うからだ。最後まで自分を貫き通さざるを得ない不器用さがなければ、本当の救いを得ることはできない。

ちなみにこの作品、タイトルにもエピタイにもどこにも嘘がない。それを確かめるだけでもこの作品を読みに行く理由になるのではないかと思う。

安っぽい当たり前の言葉で閉じてしまいたくはないけれど、これだけは言わせてほしい。
素晴らしかった、と。

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