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 そして、いま佐伯くんはひとりベッドの上にいる。すごく悲しそう。生まれてこなければよかった、なんて思ってるのかもしれない。


 2度目も失敗。暴発ならまだしも、彼はリングの上に立つこともできなった。エイリアンの幼生はいじけてうなだれたままだった。奈留Aさんは優しかった。ぜんぜん気にしてないんだって振りを装っていた。まったく非性的な抱擁を繰り返して、彼の髪にキスして、それからゆっくりと下着を着けて、ちゃんと身繕いをしてから、もう一度彼を抱きしめて、そうして帰っていった。彼は毛布を身体に巻き付けたまま泣いていた。涙も声も出てなかったけど、でも彼は泣いていた。


 わたしは奈留Aさんのあとを引き継いで彼を慰めてあげたかった。こういった感情の傾向は、おそらくわたしの将来に大きく影響するだろう。きっと私の好みは、「うだつのあがらない」タイプなのだ。自信を喪失してばかりいるお人好し。顔の好みもわたしはひどく偏っているし。でも、顔がいい男にこだわるっていうのは、ある意味微笑ましいことだとも思う。顔の造作なんて、実社会ではほとんど意味を持たないのだから。実際、ものすごい美形の男子が、賃金の低そうな仕事に従事しているのをよく見かける。ルックスを重視する女の子って、実は非打算的なのかもしれない。


 まあとにかく、今夜はもうおしまい。

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