ツンデレ美少女の妹が俺のベッドでパンツを握りしめて眠ってた件について

 もう! お兄ちゃんたら!


 こんな可愛い妹を差し置いて


 なにがオレにも春がきたよーですって!


 認めない! 絶対認めないわよ!


 だってそのカノジョって、学校でも超有名な美少女じゃない!


 なにが気が触れて私の大事な、


 大事なお兄ちゃんに手を出してくれちゃってんのよ!


 だいたいおかしかったのよ。


 朝はいつも一緒に学校に行ってくれるのに


 放課後、教室まで迎えに行ったら今日はこのを送っていくことになったからーって、


 どうせすぐに捨てられると思ってたのに


 一時の気の迷いでしょって思ってたのに


 どうせ飽きてポイってされると思ってたのに


 そしたら普段ツンってしてる私が


 優しく膝枕なんかしてあげたりして


 ギャップで萌えさせたりしてやろうとかって思ってたのに


 それから毎日だったじゃない!


 ムキー‼︎ なによあの泥棒猫!


 私なんてね


 お兄ちゃんと一緒にお風呂入ってたんだから!


 小学校に上がるまでだけど


 おかしいわ。


 今日び中学生になるまで一緒に入ってる兄妹だっているのに


 なぜか私のいないところでパパとママとお兄ちゃんがヒソヒソ話をしてて、


 危ないからやめておこうって


 どういう意味よ!


 意味わかんなーい。


 だいたいねぇ


 あんなニセモノなんか認められないわよ!


 あんなニセモノ。とんだニセコイよ!


 どこのヤクザの娘よ!


 お兄ちゃんはね


 私のお兄ちゃんはねー


 ツンデレが好きなんだから!


 とにもかくにも


 ツンデレが大好きなんだから!


 だったら私みたいに


 ツインテールになさいなさいよ!


 もおっ(怒)


 校則で禁止されてなかったら


 速攻で金髪にしたやるんだったのに!


 様式美よ! これはお約束なのよ!


 だからあんなねー


 あんな綺麗なカノジョなんかに


 私の大事なお兄ちゃんを取られてたまるもんか……


 クスン。


 でも……


 私は所詮は妹


 けしてお兄ちゃんとは


 結ばれないの……


 あぁん!


 私、調整体だったりしないのかしら?


 そして四の家名を受け継いちゃったりしちゃって


 あんなやつニブルヘイムで地獄送りよ


 でも優しいお兄ちゃんは


 そんな私でもよしよししてくれるの


 さすがお兄ちゃん!


 さすおによ♡


 うふ♪


 明日も朝になったら


 ダイビング・ボディプレスで


 起こしてやるんだから!


 それとも足の方から布団にもぐり込んでやろうかしら?


 ぐふ♪


 まぁ、それはさておき


 私の作った朝ごはんを食べてもらって


 お前の目玉焼きは美味しいよって


 また言わせてやるぅ


 って、そんなお兄ちゃんも


 さすがに思春期だから


 さ……さすがに、さすおにだから、


 どっかにあるわよね?


 さっきから探してるんだけど


 おかしいわ


 こういうのってだいたいベッドの周りじゃないのかしら


 禁断のアカシックレコード


 お兄ちゃんの好みは


 ちゃんとチェックしなきゃね♡


 け……けして、そういうことに興味があるわけじゃないんだからね!


 誤解しないでよね!


 でもこのベッド


 お兄ちゃんの匂いがして


 どうしてだろう


 さっきタンスを探してたときの


 お兄ちゃんのトランクス


 洗濯してあるのに


 つい嗅いでしまうの


 スーハー


 うん。


 これでご飯三杯いけるわ


 なんて〜


 あぁ、お兄ちゃん


 どうしてお兄ちゃんだったりしたの……


 いつか私がイラスト書くから


 ラノベ作家目指して


 一緒にアニメ化目指そうね


 えっ? そんな名前の人……知らない。


 ぐぅ……。


 ◇◇◇


「なぁ、母さん」


「あらどうしたの?」


「あいつオレのベッドでまた寝ちゃってるんだけど」


「あらあら、まぁ〜」


「ついでにオレのパンツ握りしめて顔を埋めてるんだけど」


「あら! まぁ〜〜〜」


「やっぱり当分言えないよね」


「そうね〜、小ちゃいときからもう目が怪しかったから気をつけてたけど、私の連れ子で血がつながってないなんて知ったら絶対歯止めが効かなくなるから、これは当分言えないわよね〜」


「あぁ、助かるよ。オレの貞操が危うくなっちゃうよ」


「やっぱり、『みゆき』なんて名前にするんじゃなかったかしら〜」


「まぁ、おかげで思い出は一杯だけどね」

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