第6話噓を噓と見抜けない人には使う事は難しい

「なっ!?」


 わたくしの言葉を聞いたお父様はハトが豆鉄砲を喰らったような表情をして驚いていた。


「お父様、その表情は流石にどうかと思いますわよ?」

「……………………ゴホン」


 その表情はあまり家人以外(使用人含む)にはとても見せられない表情をしており、その事を指摘してやると、恥かしそうにいつもの威厳たっぷりな、いつも見慣れたお父様の顔へと戻って行く。


「しかしだな、シャルロットよ、いくら我が家が公爵家でありそれなりの権力があるからといっても所詮は虎の威を借るキツネでしかなんだ。我がランゲージ家の威厳はグリドニア王国あっての威厳でありだからこそ我々は王国に忠誠を誓うのだよ? その王国へ謀反を起こした場合はどうなるか、火を見るまでも無く明らかではないか。 領土は他の貴族たちに奪われ、民たちは攻め込まれた貴族の兵により虐殺強奪強姦されるだけなのだよ。 グリドニア王国第一王子の今回行った行為は許されざるものであると私も思うが、だからこそ最悪の結末を想定したうえで慎重に行動と言葉選んで、慎みをもって欲しい」


 まるで子供を優しく諭すようにお父様がわたくしへ考え直すように言聞かせて来る。


 ここで頭ごなしに否定してこないあたり、本当にできたお父様でありだからこそ尊敬する人の一人でもある。


 しかしながらわたくしにも譲れないものというものもございます。


 正式な手続きを経ての婚約破棄であるのならば、腹は立つもののわたくしもここまで怒る事は無かった。


 今回カイザル・ユリウス・レオポルト第一王子がわたくしに行った行為と言うのは、わたくしだけではなくその後ろにある、わたくしの愛する家族までをも侮辱した行為に等しいのである。


 そしてわたくしは、いままで隠して来た事を話す決心をする。


「お父様、何も策が無く独立を口にした訳ではございませんわ」


 そして語るはわたくしの転生前の記憶と特殊スキル【ググレカス】と【ママゾン】である。


 まず一つ目のスキル【ググレカス】なのだが、前世でのインターネット上にあるとある検索エンジンを使用し、全てのページを検索できるスキルである。


 これに似たようなスキルに遊び人の上級スキルである『賢者』があるのだが、これはあくまでもこの世界で解明されている事しか分からないという欠点がある事をこの世界の住人は知らない。


 そして、前世で住んでいた日本の方がこの世界よりも遥かに発展している事を考えればこのスキル【ググレカス】というスキルはこの世界のスキル『賢者』の上位互換スキルといっても過言ではないだろう。


 勿論、某氏の『噓を噓と見抜けない人には(インターネットを)使う事は難しい』という格言があるように虚の内容を掴まされるデメリットもあるのだが、嘘も混じっているという事を頭に入れて使えばそうそう騙される事も無いだろう。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る