神の配剤ーふたりの女

雨月

プロローグ



 女は、PCのモニターを見つめていた―――。


 マウスを握る指先が震え、モニター上のポインターが小刻みに動く。



 女は目を閉じ、その指先を、額にあてた。

 女の耳から周囲の音が消えていく―――。

 

 

 そのまま微動だにしない。深く深く何かを思索している。


 暗く、音もない世界で、思考だけが駆け巡っていく―――。

 


 やがて女は――ゆっくりと目を開け、PCの電源を落とした。

 キッチンで鍋が音を立てているのが、耳に届く。

 



 女の目に、さっきまでは無かった妖しい光が、宿っていた―――。










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