コロナ(COVID-19の変異株N501Y)と21日間、過ごした記録-概要版-

福倉 真世

コロナ(COVID-19の変異株N501Y株)に感染し、ペット同伴ができるホテル療養先で療養し、病院に搬送され、回復したまでの記録

 発端は、 2021年 5月 13 日でした。 母が熱をだし、 ほどなく私も 38 度の発熱を確認。 近所のかかりつけ医に電話をし、診察してもらえないか頼みました。 その時はコロナではなくただの風邪でしょう。と、 解熱剤と抗生物質をもらい、 4日間 発熱が続いたらまた連絡するように言われました。(この時は触診もありました)


 そして 4 日間。 下がらない熱。 39 度を越して 40 度の熱が出ました。 慌ててネットでパルスオキシメーター(酸素量を測る装置です)を、置き配指定で注文しました。

 7000 円ぐらいの日本の大手メーカーのものを選びました。在庫があり、すぐ配送されて有難かったです。(2~3000 円のものも売っていましたが、購入した人のレビューを見ると、正確に測れないようです)


 4 日目熱が下がらないので 私はまたかかりつけ医に受診。かかりつけ医からは医師から保健所に予約を入れるので、その日の午後に公共の PCR 検査センターで検査を受けるように言われました。


 公共の交通機関を使わず 家族の車で検査場に向かいました インフルエンザのような長い綿棒を使った検査でした。 翌日PCR検査の結果が陽性だったことをかかりつけ医から知らされて、頭の中が真っ白になりました。


  保健所から連絡があること(追跡調査やホテル療養先または入院するかを選ぶ手続きがあること。私は都内在住ですが、熱が高すぎるため自宅療養は出来ないだろう、とのことでした) などを説明され 連絡を待ちました。


 届いたパルスオキシメーターで酸素量を検索すると私は 98 ありましたが母が90しか酸素量がなく、慌ててしまいました。


 ちょうどその時保健所からたまたま連絡があり 状況を話すと金曜日の夜なので 公共のPCR検査センターはやっていないので すぐにPCR検査を 受けられる病院を紹介するから母と、 濃厚接触者にあたる父もPCR検査を受けるように指示されました。


 病院で検査を受けた結果、母は陽性で肺炎も起こしていて、その場で即入院。父もPCR検査陽性で帰宅しました。


 私が40度の熱を出しながら療養先が決まるまでの間に、成したことを記しておきます。

  恥ずかしながら遺書のようなものを書きました。

 箱を 1 つ用意して 通帳、実印、保険証書、あと USB メモリに実家のホームページの更新のための ID・パスワード・ネット銀行のログインパスワード等を書き、仕事の引き継ぎ書(私が SE として作っているホームページの顧客先への書類、私が居なくなっても安く引き継いでくれそうな業者さんの名刺も添えて)を急いで作りました。


 それぞれ封筒に顧客の名前を書き、サイト作成に必要なデータをプリントアウトして同封しました。


 そして、A4 用紙一枚に箱の中に何が入っているか箇条書きにして、箱の一番上に載せておきました。私の人生、残すものは箱一つに集約されるのだなあ、と感傷的なことも頭をよぎりました。


 翌日、私はホテル療養することに決まり、父は持病があったため、入院することになりました。急いで荷物をまとめ、送迎の車を待ちました。荷物の上げ下ろしは一切手伝えないと、言われました。


 ちなみにホテル療養、の中でも特別なペットと同伴できる療養施設に赴きました。都内のお台場方面にあるプレハブ群です。愛犬マロンと離れたくなかったし、兄に任せるわけにはいかない(父と母と濃厚接触している兄もコロナに感染している可能性がそのときはありました)私が看るしかない、と思いました。


 一番、印象に残っているのは都知事からの励ましの手紙が入っていたことです。

あと、Ipadとガラケーが配られたのですが、Ipadの中にインストールされている、熱や酸素量を送信するアプリ(LAVITA)はものすごく使いにくかったです。

COCOAもそうですが、もう少しマシなアプリを開発してくれる業者を選定して欲しいと思います。


 それから、更に印象に残っているのは、ペット同伴ホテル療養施設への移送を決めた保健所の担当者の方(仮に田中さんとします)が、笑いながら、「解熱剤を飲んでから行ってね。40度以上熱が出てるっていったら即入院になっちゃうし、療養施設側がびっくりしちゃうから」と言ったことです。


 元公務員として(私は10年ぐらい前まで公務員でした)無責任な発言だよなあ、と未だに憤りを覚えます。

 時間が出来たら、都庁あてに 担当者の 田中から そういう対応を受けましたよ、と告発したいくらいです。

(治癒したときに、向こうから保健所の対応や療養施設、病院の対応は如何でしたか? というアンケートメールが来たのです。そのときに書いてやればよかったと後悔しています)


 結局、私のホテル療養は結局 一泊二日で終わりました。 40度の熱が続き、酸素量の値が92を切ったことで、都内のとある私立病院に搬送されたのです。


 愛犬マロンは、保健所に移送されることが決まりました。マロンを置き去りにするときマロンはひどく悲し気に吠えていました。その鳴き声は悲痛で、今思い出しても身を切られる思いがします。(結局、コロナに感染していなかった兄が、引取りにいってくれて保健所への移送は取りやめになりましたが。本当に危ないところでした)


 ちなみに、ホテル療養している間に、保健所から連絡があり、自分が通常のコロナ(COVID-19)ではなく、変異株であるN501Y株に感染していることを知らされました。


 すぐにネットで検索すると、子供や若い人でも罹りやすい、重症化のリスクが高い変異株で最近都内で流行している、という情報が手に入りました。正直恐ろしかったです。


  病院についたときは、咳の症状もひどく、酸素量が一時期88になったこともあり、ステロイド点滴とデムベシベル、というコロナ治療薬(もともとはエボラ出血熱のための治療薬らしいです)の点滴が始まりました。


  そうして一週間以上、ステロイドとデムベシベルの点滴を受けました。ポータブル式のレントゲンで肺のレントゲンを撮るとやはり肺炎を起こしていて、症状は「中等症状以上」ということでした。咳止めも処方されました。


 点滴と酸素ボンベを身に着けた身で、トイレに行くのすら、辛かったです。

 ガラガラと引っ張っていきました。点滴の止め方や、酸素ボンベの酸素の調節の仕方などを覚えられたのは、一エッセイストとして、良いことだったかもしれませんが……。 報連相が医療従事者の間でうまくいっていなくて、同じことを何度も説明しなくてはいけないのも辛かったです。


 ステロイド点滴とデムベシベル点滴の副作用で肝機能障害を起こしたり、毎食前に血糖値を測らなければならなかったりなど(点滴の副作用で血糖値が上がるらしいのです。それで、飲みたかったポカリスエットが飲めなかったり、のど飴もノンカロリーのものだけに絞られたりなどしました)


 いろいろ面倒な点はありましたが、それでも、日本のすぐれた医療に繋がれたお陰で21日間の入院で退院することが出来ました。本当にありがたかったです。


  入院中、スマホを持っていたので、スマホの中のコンテンツ……電子書籍、音楽、サブスクリプションのドラマなどにずいぶん精神的に助けてもらいました。


  あと、迷いに迷って中学時代の同級生四人組のグループラインに実はコロナ(COVID-19)に感染して入院している、と打ち明け、そのときは体調が大変悪かったので、遺言めいたことも LINE しました。


 皆、温かく受け止めてくれ、時にユーモアを交え、時に励まし、私の近況報告に反応をくれました。それが、とても救いになりました。


  近況を話す。それに応えてもらえる。

 誰かに自分の気持ちを聞いてもらう。反応がもらえる。ということが、本当に、心から有難く、救われました。


追記


  蛇足かもしれませんが、一時期医者を志していた者として、一番正確な情報を発信している、と感じている山中伸弥教授(ノーベル賞受賞者)のサイトの URL を記載しておきます。

https://www.covid19-yamanaka.com/

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