炸裂! 筋肉不死鳥!

「はぁ、はぁ、はぁ……」


 もう膝がガタガタだった。急いで試合場に戻って――


「あ……」


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 もう膝がガタガタだった。急いで試合場に戻って――

「あ……」


 俺は絶句した。

 戻ってきたとき、ガオンの姿が見るに堪えない姿になっていた。


 ガンガンガンガン!


 意地でも倒れないとばかりに腰をどっしりと構え、両腕で前面をガードしているガオンに……ゴーレム、ガ・ギーンオーがひたすら殴りつけていた。


 ガオンの体中が内出血の痣だらけで、レーザー攻撃を受けたのだろう、酷い火傷も見えていた。


 満身創痍。今のガオンの姿は、ボロボロの姿だった。


 必死にガ・ギーンオーの拳に耐えている両腕も腫れ上がり、骨が折れてしまっているかもしれない。


 こんな状況で、たった一杯のプロテインで、どうしろというのだ?


「ガオン! プロテインを持ってきたぞ!」


 必死に耐えていたガオンだが、正直、どう転がっても逆転なんてできない。栄養を補給しただけでどうにかなるようなダメージじゃない。


 だが。


「おお、マモル。信じていたぞ……早く、私にプロテインを!」

「だけどお前、そんな体で!」

「早く! 上に投げてくれ!」」

「……くそっ」


 俺は蓋でしっかり固定されたプロテイン入りのコップをガオンの頭上へ向けて投げる。


「とうっ!」


 ガオンが高くジャンプし、プロテインの入ったコップを掴み取った。


 シャカシャカシャカシャカシャカシャカ

 カポッ

 ごくごくごくごく――


 ガオンがコップをシェイクして、蓋を開けてプロテインを一気に飲み干した。


 そのとき、俺は奇跡を見たのかもしれない。


 ガオンの体が光輝いた!


「う、おおおおおおおおおおおおお――」


 ガオンが空中で叫ぶ。


「体中に、プロテインが駆け巡る! 負ったダメージが治り、皮膚が! 筋肉が! 筋繊維が! より強靭に! 新しく! 生まれ変わっていく! これぞ! マッスルウウウウウウウウウウウウウ! フェニックス!」


 空中で不死鳥を思わせるポージングで輝くガオン。体が完全回復している。


 ついでにビックスマイルも。


 ドズンッ!


 まるで巨石もで落ちてきたかのように、ガオンが地面に着地した。


「筋肉は! プロテインの中かから! 蘇る!」


 その姿は、とんでもない迫力を撒き散らしている。


「さあ、第二ラウンドといこうか……ガッデム!」


 あ、やっぱり蝶野さん成分が入ってたっぽいな。

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