差し伸べられた温かさ 2

そのカップから漂う紅茶とミルクの優しい香りが、すさんだ心に少しばかり癒しをくれた。


「美味しそう……」


「温かい内にどうぞ」


「あ、はい」


いただきます、とお辞儀をして一口飲んだ。


紅茶の渋味がミルクでまろやかになっていて、飲みやすい。


かと言って紅茶本来の風味が無くなった訳ではなく、ミルクと調和されていて、とても――、


「美味しい……」


ボソッと呟く。


「それは良かった」


おじさんが優しく微笑む。


ミルクティーの温かさと甘さ、笑顔の優しさがじんわりと心に広がって行く。


なんだか妙に切なくなって、ポロポロッ……と、涙が零れた。


一度流れ始めた涙は、待ってました!と言わんばかりに後から後から零れ落ち、ポタポタとミルクティーの表面に波紋を作る。


……悔しい。


泣きたくなんかないのに。


「ニャーン……」


さっきの子猫が、カップに添えている私の手に擦り寄って来る。


雨で濡れていた体はすっかり乾き、ふわふわと温かい。


おじさんがそっとハンカチを差し出してくれて、


「……今度はハンカチで大丈夫そうですか?」


と、言った。


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