第34話 本気デート前日
「きゃあああああ、お兄ちゃんが、お兄ちゃんが、つ、ついに、ついに私を恋人にって」
嬉しい、やったね、私大勝利!
私は嬉しさのあまりザブンとはしたなくお風呂に飛び込んだ。
そして顔半分迄お湯に浸かり一旦こころを心を落ち着かせる。
「明日、恋人としてデートしてくれるって、これってもう告白よね」
はあぁぁ、鼻だけ出してお湯の中でため息をつく。
ブクブクと目の前に自分の吐いた空気が泡になって浮かび上がる。
少し心が落ち着いて来ると、幸福感が押し寄せてくる。
ああ、幸せ過ぎる……いいのかな私……こんなに幸せで。
最近すっかり妹としてしか見てくれなかった、私がこれだけ好きって言っても、なんか最近は、はいはいみたいになってたけど、少しは聞いてくれてたのかもしれない。
少し熱めのお湯に浸かっているので、のぼせない様に上半身をお湯から出す。
「ついに、ついにお兄ちゃんが本気になってくれた、私がんばった!!」
お兄ちゃんに本気を出させる迄にした私って偉い! 頑張った!
生徒会の騒動なんてなんでも無い、お兄ちゃんを振り向かせる事に比べたら。
「でも、ここで満足してたら駄目、明日もっともっとお兄ちゃんにアピールしなきゃ!」
チャンスなんだ、これは私にとって最大のチャンスなんだ!
「明日のデートはお兄ちゃんも超乗り気だ。私を本当の恋人として見てくれる。つまりは恋人同士がするようなあんな事やこんな事、私が妄想に妄想を重ねたお兄ちゃんとしたい事を、ううん、もういっそ夢の既成事実を……」
私はお湯の中で拳を握りしめ気合いを入れる。
「いえ、駄目よ、既成事実で満足してちゃ、もうここで一気にお兄ちゃんを私の虜にして、もう私がいないと駄目って思わせるくらいにしないと……」
そう……私がいないと生きていけないってくらいにお兄ちゃんを私の虜に……。
「ああ、でも私にそんな魅力が、お兄ちゃんを虜にする方法……魔法?魔法陣ってどう書くのかな?」
私はお風呂場に持ってきたスマホで魔方陣の書き方をググった。
そして、しばらく魔法やら、呪いやら、催眠術なんかを調べていたが……、その前にやらなければいけない事があるのを思い出す。
「そうだ、その前に明日着ていく物を選ばなきゃ」
私は慌てる様に身体のケアを始める。
そう、何があっても良いようにしっかりとじっくりと自分を磨いた。
そしてお風呂から上がると急ぎ自分の部屋に戻りまずは下着選びを開始する。
「うう、相変わらずだ……」
お風呂から着てきた部屋着を脱ぎ自分の身体を自室にある鏡に写す。
もっと大きくなりたい……貧相な胸を見て思わずため息をついた。
せめて麻紗美ちゃんくらいに大きかったら……。
勝負は明日……胸に関しては近い将来お兄ちゃんに大きくして貰おうとそう決め、私はとりあえずクローゼットの中にある勝負下着を漁る。
「お兄ちゃんどんなのが好きなんだろう、うーーん悩殺系?可愛い系?何も着ない?」
クローゼットの服の下、引き出しの3段目、勝負下着(未使用品)を取り出し、鏡を見ながらあてていく。
「ああ、この間お部屋に来て貰った時どれが好き? って聞きたかったのになあ、そうだ! 今からお兄ちゃんのお部屋に行ってどれがいいか見てもらおうか……ああ、でも駄目だよね、やっぱり初めて下着姿を見て貰うんだから、先に見せたらお兄ちゃんに喜んでもらえない」
それにもし見せたとして、お兄ちゃんがデート中変に緊張しても困るし……。
「よし、とりあえず、これとこれ、この可愛い系にして、ちゃんと上下揃えて」
とりあえず下着は決めた。
「えへへへへ、お兄ちゃんが恋人、もしかしたら、えへへへへへ」
お兄ちゃんにこの下着を見せて、そして……ああ、お兄ちゃんが私の……を……に、そして……が、私の……に……えへへへ、えへええ、
いけないいけない、妄想に浸っている場合じゃない、次は服を決めないと!
「何がいいかなー、明日は結構暑いみたいだし、露出高めでも大丈夫だよね? でも……お兄ちゃんの好みってわからないんだよねー、何を着ても可愛いってしか言わない、可愛いって、お兄ちゃんが可愛いってえへへへへへへ」
ーーーしばらくお待ち下さいーーーー
「はっ、いけないいけない、まだやることは一杯あるんだから、服でしょ、やっぱり知り合いがいないとも限らないし、お兄ちゃんが安心して迫ってこれないし、やっぱり帽子と眼鏡……え、お兄ちゃんが迫ってくる、え、え?」
ああ、駄目だって、ちゃんと寝ておかないと明日はもしかしたら……朝までお兄ちゃんと、ああ、そう思ったら益々妄想がああああ……。
火照る身体を燃える心をどうにか抑える。
「……そうだよね、そうだよ、恋人宣言ってそう言う事だよね、え、え、どうしよう、私どうすれば、え、目を瞑っていればいいのかな、でもお兄ちゃんも初めてだよね、え、どうしよう」
大丈夫かな? お兄ちゃん……出きるかな?
「ああ、なんか色々考えてたらまた汗が、明日の朝とりあえず、もう一度お風呂に行かなきゃ、そうか、お泊まりの可能性も……だったらもう一着下着も選ばないと、ああー、魔法陣まだ調べきってない」
そして結局深夜迄かけ、全ての準備を整えようやく布団に潜り込む。
「ああ、どうしよう、お兄ちゃん、うふ、うふふふ、うふふふふふふ、うふふふふふふふふふふふふふ」
さあ、明日はお兄ちゃんとの勝負だ。
この勝負はこれだけは必ず勝たなければいけない!
私は気合いを入れて寝た…………。
「はうううう、寝れないよおおお」
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