07『神獣の森ー名付け』
最近凄く思ってたことがある。
「そういや、名前ないの?」
この2人の名前を知らないなーと思った。
なんせ妹は姉の事をねぇねと呼び、姉が妹の名前を呼んでるとこを見たことがないのだから、名前を知らなくて当然である。
「名前?」
「ないよ?」
妹は名前と言うものを理解してない様子、姉は理解してはいるが無いのが当然と言ったご様子。
(不便じゃないのかな?)
と思ったので、尋ねてみる。
「なら適当に名前付けないか?僕的には名前で呼べないのは大変だからさ」
当然だと思うけど、名前の無い人と生活する所を想像して欲しい、きっと困る事になるからさ。
「名前ないと大変?ならいいよ?」
「……名付け……んーいいのかな?」
珍しく姉の方が悩んでる様子だ。
(嫌なのかな?でも妹は良いって言ってるし……それに名前ぐらいあだ名みたいなもんだしいいだろ?)
という訳で、前から何となく考えてた名前を付ける。
「あだ名みたいなもんだし、とりあえず付けるな?」
「あだ名?」
「育人だしいいのかな?」
(つまり僕だから良いってことなんだろうか?)たまに思うが姉のしゃべり方は常にはてなマークが浮かんでるから理解するのに少しだけ時間がかかる。
とりあえずなんでもいいやって感じに、付けた名前をこれでいいか尋ねてみる。
とりあえず妹の方に指を指す。
「みぅ」
そして姉に指を指す
「みぃ」
猫っぽいというか、そもそも猫耳としっぽがついた、ねこのこ族らしいので猫っぽい名前をつけてみた。
「どうかな?嫌なら別の考えるけど?」
「みぅ……名前?、あっ!なまえ!!」
理解したみたいだ(名前を知らないじゃなくて、自分に名前がつくってことがわからなかった感じか?)
みぅはにぱっと八重歯を覗かせ嬉しそうだ。
(気に入ってくれたみたいだな)
対して姉の方
「みぃ……えへへ」
(なん……だと!?)
僕は驚いている、なんせ妹の笑顔は何百回か見たが、この不思議ちゃんな姉の笑顔は本日が初だからだ。
(やばー可愛い、カメラ無いのが悔やまれすぎるんだが!?)
「みぃ……みぃはみぃ、いくとありがとう」
まぁそんなことよりもあれだ(初めて何かをあげれた気がするな……こんなに人に何かして喜ばれて嬉しいのは初めてだ)
「みぅはみぅ!ねぇねはみぃねぇね……わーい!!」
「みぅ~なでなで」
「えへへ~みぃねぇね!」
(……姉が妹を呼んでるのがこんなに新鮮なんてな~)
と、そんな二人を見て感傷に浸っていると、みぅとみぃ、そして僕の足元が輝き始めた。
「へ?」突然起きたことに間抜けな顔をする僕。
に対して、この2人何やら知ってたのか?2人は手を繋ぎ目を瞑っている。
僕の足元には様々な色をした見たことないけど、見た事のある魔法陣が展開されている。
(えっ!?僕ってもしかして……魔法少女に!?)んなわけは無い。見た感じ僕の身体からうようよした何かが下に吸い込まれているのが目視できる。
そして僕はそれを知っている。なんせこの世界に来た時から僕にもみぅにもみぃにもまとわりついているのだからな。
(これは……魔力?だよな)
まぁ予想でしかないが、多分そうだと思う。
僕のスキルの中にある『魔力感知』なるもののせいでそれは見えていて、みぅに尋ねたことがあるが見えないって言ってたから合ってると思う。
そんな僕の魔力が地面に吸われている。
そしてみぅとみぃの足元にも魔法陣はあり、それは僕とは真逆の効果を発揮している。
どうやら僕からこの2人の元へ魔力が流れている形
みぃには白を纏った水色の魔力。
みぅには白を纏った赤色の魔力。
身体は地面から流れる魔力に浮きあげられている。
みぃとみぅの髪は茶トラ猫の柄をしていたのだが、魔力の色に合わせた変化が発生している。
2人の髪は水色と赤色と別れ、毛先は共に白く染め上げられた。
ーー名付けによる契約が完了しました
そんな言葉が頭に流れ、2人の髪が完全に染まった頃、2人は地面に降りていた。
「えへへ、今日からいくとはご主人様」
「名前、嬉しい……ご主人様だよ?」
僕は思う。
安易に人様に名前をつけたらいけません。
こちらを見る2人の瞳はまるで信頼した飼い主を見る猫のように優しく澄んでいた。
真っ赤なルビーのような瞳と静かなサファイアの様な瞳。
(……僕は無実です、名前をつけただけなんです!!)
まるで洗脳して懐柔させたような罪悪感が押し寄せてくるのは、この2人が僕に抱きついてきたからだろうな。
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