異世界転生クソ主人公

U7

俺が国外逃亡を決めた理由

第1話 D殺し 21/11/30

 この胸の高鳴りはいつ以来だろうか。


 少なくともこの世界に“転生”してから人生イージーモードだったチートクソ主人公ムーブをしていた俺にとっては、前世の記憶を思い出したときが最後か。

 その時はこれからの未来に希望を見つけ期待に胸を弾ませていた状態だったが、何年も俺tueeムーブしてたらある時ふと虚しい気持ちになりまして……。


 というのも昔仲良くやってた幼馴染たちの名声が聞こえてくるわけですよ。


 いや、もちろんチートクソ主人公してた俺が一番有名なのは確定的なんだが、聞こえてくる彼らの冒険譚と俺の冒険譚の決定的な『差』がどうしても、優越感とか消しちゃうわけで……。


 まぁ、比べるまでもなく“華やかさ”が違うんですわ。


 俺はもう英雄として一端の活躍をして金は腐るほどあるし王族と伝まで作ったし農村の出としては歴史に名を残す大出世である。


 龍を一人で討ち取れる称号として『ドラゴンスレイヤー』を名乗ることを唯一許されたんだが……あろうことか、あいつらそれぞれパーティ組んで「別に一人で倒す必要はないよね」って言うかのように龍の討伐依頼を達成したんだよな……。


 もちろん、そのパーティには“女の子”がいるわけです。それも結構可愛い子たち。

 クールに孤高を気取ろうとしていつしか異性との距離の詰め方を見失った俺への当てつけか、と。


 でも当てつけの意思があったのならそれは成功である。

 めっちゃ羨ましかった。


 俺が話をする異性なんてギルド受付の前世含め20は年上の“お姉さん”だけなんだよ。いつの間にか俺はパーティを組まない人間として知れ渡ったから声をかけてくれる女の子いないし、いても飯奢れって集ってくる顔見知りの子ぐらいだしこの差はいったい何なんだ?


 あいつらイチャイチャ人生楽しいんだろうなと思って虚しくなったので、俺も一念発起して頑張ってみた次第。


 パーティ組んでロマンスしたい、もとい、いつまでも一人で性欲を発散させるのは前世童貞として成長がなさすぎるのでどうにかしたかった。


 でも、女の子に声をかけることは出来ないし、かけられることもない。


 ならと思い立って……というか、たまたま通りかかった場所なんですが……俺に一つの天啓をもたらした。


 そうだ。

 奴隷を買ってパーティを組んだら良いじゃないか、と。


 そして、何も考えずにチートクソ主人公をしていた俺はまたしても特に何も考えずに奴隷市に足を踏み入れた。


 で、なんかVIP待遇で迎えられて「ああ」とか「そうか」とか流されている間にめっちゃ可愛い子を買うことになっちゃいました。正直なところ前世の記憶が倫理観を歪めるこの環境にびびって頭が真っ白で話の内容は覚えてない。


 でもお金を払って無骨な首輪を繋ぐチェーンを手渡された時、頬を引き攣らせながら無理やり笑顔を見せてくる女の子を見て「やっちまった」と正気に帰り青褪めました。


 この子、性奴隷らしいです。

 そして今夜からご奉仕頑張るらしいです。


 今夜です←イマココ。



 なんでこうなった。

 心臓が慌てて血液が循環しまくってるのが自覚できる。

 いや、今朝まで前世含めたら半分しか生きていない幼馴染たちみんなDの称号を返上したんだろうな辛いな氏ねって考えてたのに、その日のうちに俺まで返上する展開とか誰が予想できた。


 しかも冒険を重ねて奴隷と愛を育んで恋仲になって愛し合おうと思ってたのに、まさかの性奴隷ってスキップしすぎぃ。

 流石に性奴隷として売られてる子を過酷な冒険者にするほど鬼畜にはなれなかったんだ。

 そうなると買った意味がほんと言い訳の余地がない性欲100%ってバレバレなわけで、せめて間にロマンスを挟めていたらちょっとは性欲目的を隠せたはずだったんだが……。


 今更隠せないということで潔くクソ主人公らしくご奉仕される覚悟を決めました(キリッ


 これ知られたら幼馴染たちをはじめ、最近懐いてくれてるお姫様や知り合いの冒険者たちに失望されるんだろうなぁ。


 そんなことを思いながら、最高級宿のふかふかベッドに二人腰掛け早一時間。


「………………」

「………………」


 で、事前に聞いた限りだとこの子処女で性知識ほとんどないらしいんだけど、もしかしてご奉仕の指示待ちでしょうか?

 童貞の俺はどうしたらいいんですか?


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