第36話 果てなき死闘の末に
翌日。
いよいよ30階層台に、足を踏み入れる
マルクが言っていた。「40階層より下は次元が違う」と。
それは決して誇張ではなかった。見たことのない
マルクとエリシュのどちらかでも欠けていたら、このチームは全滅という憂き目に遭っていた。
きっと、恐らくは。
数少ない『避難ホール』を巧みに駆使し、強敵との戦闘を避け。
それが叶わず討伐ランクAの
数を頼りに襲いかかる
下層に降りれば降りるほど
唯一の休息地である
金銭的にも余剰がない。もはや武具の購入は不可能に近い。
壊れかけた防具を自前で修理して、武器を研ぎ、命を繋ぐ備品を入手して短い休息をとり、新たな
一階層降りるごとに
下層へ伸びる階段を塞ぐように立ちはだかる討伐ランクAの
討伐ランクAの
それが唯一の光明。基本は奇襲になる。
大和のスピードが、あるいはエリシュの魔法が、先制攻撃。動揺を見せる
正々堂々、公明正大、いざ尋常に勝負。そんな言葉はこのハラムディンの
少なくとも、10階層台に突入してからは。
屈強な
手傷を負いながら怒り狂い、反撃に転ずる
エリシュの魔法力は回復にも必要だ。クリスティも
なので無駄玉は撃てない。一射でも浪費はできない。
それほどまでに、
チームで団結すれば必ず押し切れる。
誰もが愚直にそう信じて、目の前の
生と死を分かつ天秤は、不安定に揺れ動いていた。どちらに転んでもおかしくはない。
実際のところ、紙一重だった。
エリシュの魔法力を空にする、最後の火球がデスバッファローに炸裂した。
ぐらりと揺らぐ巨体の背後には、血眼になって探していた
「———ここだ! 全員、俺に続けっ!」
大和の
側にたむろする
『グオオオオオォォォォ!?』
「そのまま落ちやがれっ!」
大和はデスバッファローを踏みつける形のままで、階段を滑り落ちていく。
マルクとエリシュ、アルベートとクリスティも、そのまま階段へと通じる深い穴へと、その身を投じた。
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