21 マクベスが襲ってくる、裏切りもののベムを殺したマリーと協力する羽目になった!!!???

 厭な予感は的中したのだ。


 「ちょっ、後ろ!!!!。」


 マクベスの人形百体が、集まって、襲ってきた。


 五柱の一人



 マレールも居た。


 緑色の髪に、太刀を持った、風の魔導士。能力は引力。


 「っち。まさか。」


 カローナは舌打ちをした。


 「てめーら、逃げろ。あたしが食い止める。」


 でも・・・。


 「おめーらじゃ死ぬだけだ。雅楽の奴に伝えにいけ。」


 人形なら一人でも如何にか成るか・・・。




 「ちょっと待て。戦っちゃ駄目だ。」




 マリーが居た。


 ベムさんと、バルマと私を嵌めて、ベムさんが死ぬ原因を作った張本人だ。


 怒りをあらわにした。よくもベムを・・・。


 「まー。怒んないで。話はあとでね。ちょっとついてきな。」



 マリーは、巨大な網で四人を捕まえると、神速を越えた速さで、扉に向かって走り、突き抜けた。


 「ひとまずは、大丈夫だ。」

 マリーは額の汗をぬぐっていった。



 

 扉の先は遊園地だった。


 POPな音楽が流れている。


 観覧車が回り、メリーゴーランドが回っている。

 ジェットコースターが動いている。


 客の声が聞こえる。


 私の知っている、人類だった。



 「まあ、座りなよ。」

 カローナは近くにあったベンチに腰を下ろした。


 「どこだここは。」

 ベムはカローナを睨みつけ、問うた。



 「マリン星の遊園地さ。」



 マリン星の遊園地。

 私の生まれた地は地球だが、地球とよく似ている。

 菓子太郎の故郷の惑星だと、いうことは知っていた。


 「あ、丁度来たんじゃない。君の御父さん。」 


 誰のお父さんなのだろう。わからないが、歳のいった40歳くらいの背の低いおっさんがいた。


 「御父さん。如何してここに。」

 菓子太郎は、困惑した様子で、言葉をこぼした。


 怒りをこらえきれなくなったのか、急にバルマが話出した。

 「どうしてベムを殺したんだ。」


 「あれは、ごめんね。君たちがまさか、次の色の魔導士候補って知らなくってさあ。ベム君もそうだったんだよね。悪い事しちゃったなーーー。ははは。」


 笑って済む話では無かった、仲間を一人殺されたのだ。


 「君たちをマクベスから、逃したんだ。おあいこね。」

と、上目遣いにいってきた。


 「許せないね。ブス。如何して殺したんのですか???。」

 バルマは相当、腹が立っている様子だった。自分の親友が死んで、敵が目の前にいるともなると、感情が抑えられないのであろう。


 「どうしてってそりゃ弱いからだよ。厳しさを教えてやろうと思ってね。弱い癖に、来たお前たちには制裁が必要だと思ったんだ。そうやってこれまでも冒険者を面白半分で殺して来た。」


 サイテーな人だ、酷い、サイコパスチックな趣味を持った変人だと思った。


 「狂ってますね。」

 ベムは半ば呆れた様子でいった。


 「ま、君たちは、マクベスを倒すのに必要な存在だ。」

 マリーは語りだした。


 マクベスを倒すとはどういうことであろうか。

 マリーは、摩訶不思議学校の守護、つまり、マクベスの手下ではなかったのであろうか。

 

 「儂が話そう。摩訶不思議学校の真相を。」

 

 寅次郎は語った。

 

 マクベスが秘密裏に行っている、能力者を実験し生まれた魔法の生成。

 

 マクベス人形は、能力者を実験につくられたものであること。


 「つまり、魔法ってのは、能力者を殺して、能力を抽出することで生まれた技術ってことですか。」

  ベムは恐怖と恐ろしさに身体を震わせていた。

 

 恐ろしいことだ。

 

 「確かに、摩訶不思議学校では、優秀な生徒や、一部の特異な能力を持った生徒が行方不明になったり、消える事件が多い。間引かれていたのだとすると相当闇が深いね。」

 カローナは冷静に分析し、意見を述べた。

 

 まさか。 

 だとすると、マクベスは私たちを狙っているということになる。

 

 実際に逃げてきたのだ。

 具現化能力は相当レアなのだという。

 

 「儂は反転世界を行き来し、マクベスが都合のいい世界を作りだすために、時間の流れを弄っていることを発見した。マクベスを倒すために周到に計画を練り、御前らが来るのを待っていたのだ。」

 寅次郎は言った。

 

 マクベスを倒すには、色の魔導士が必要なのだ。

 

 七不思議に対応する七人の魔導士が必要なのだ。

 

 マクベスは七不思議のすべての魔道が使える。


 「マクベスの七不思議を会得する試練は、並大抵のものではない、死のリスクが伴うものだ。」 

 マリーは険しい顔でいった。


 「試練の内容はどうなんですか。」

 画レ子は尋ねた。


 「魔導書があるだろ、試練は魔導書の中の精霊がかってに決める、精神世界の中で、試練が行われる、試練中、身体は動かせない。ずっと寝た状態になる。試練から戻ってこれなければ自然と身体は消滅する。」

 マリーは答えた。


 寅次郎に向かって、カローナは尋ねた。

 「菓子太郎とはどんな関係で???。」

 

 「俺の息子なんだ。俺が反転世界に連れてきた。魔鏡を使ってね。」


  

 バルマは意を決した様子でいった。

 「俺、試練を受けるよ。強くなりてえんだ。もう誰も失いたくない。」


 「ありがとう。」

 マリーはお礼を言った。

 

 「覚悟は決まったようだね。」

 寅次郎は言った。


 私も受けよう。

 強くなりたい。

 知りたい、反転世界の事をもっと知りたいのだ。


 「私も受けます。」

  私は手を挙げていった。


 「ありがとう。」

 マリーはお礼をした。


 「あ、私も受ける。」

  カローナも、受けるといった。

 


 「試練にはゼロの魔導書っていう、オリジナルの魔導を創るときに使う書を使う、配るよ。」


 ゼロの魔導書とは色の無い魔導書で、自分だけの魔法を作る時に使う、何も書いていない文字の通りゼロの魔導書だ。


 「ゼロの魔導書は五柱にしか配られない、寅次郎がコピーものだよ。」


 寅次郎はすごい。

 世界に五つしかない魔導書をコピーし複製する技術を作り上げたのだ。

  

 「魔導書にフョームを流し込めば、試練がはじまるよ。」


 「君たちの分身を作って、反転世界で生活させておこう、マクベスもいつ実世界に私たちがいると気づいてもおかしくはないからね。」

 マリーは寅次郎の方をみていった。

 

 「用意はできているよ。分身はちゃんと作ってある。ま、バレるのも時間の問題だろうけれどね、できるだけはやく試練を終えてくれ。」

 寅次郎は、ポケットに手を突っ込み、不貞腐れた笑みを浮かべた。

 

 「じゃ、フョームを流し込んでね。死んでも責任は取らないよ。では、検討を祈る。」


 四人は、一斉にフョームを流し込み、姿を消した。

 



 カローナの試練。

 熱い。まるで焼ける様な熱さだ。と思うと、次は感覚がなくなるくらいの寒さに覆われた。


 「ようこそ、温度変化の世界へ。」


 精霊がいた。


 「君は、インフリートと契約を結んでおきながら、新たな力を求めるとは強欲な人間だね。」


 インフリート。私は、赤の魔導書の試験をクリアしているのだ。


 「強欲・・・。確かにそうかも知れない。彼奴らに先を越されるのが厭なんだ。絶対的な力が欲しい。」


 「分かった。覚悟見届ける。」


 何物も寄せ付けない力。


 全部を守れる力。


 「桜色の焔。業火。冷たく硬いライトグリーンの氷。」


 絶対零度が更に冷たくなったら・・・。


 業火が無限を越えた熱さに成れば・・・。


 温度魔法の限界を越えれば・・・。


 エントロピーの媒介粒子。


 エテナ。


 「そして、永久にお休み。夢の中で死ね。」


 カローナは、死んだ。

 

 

 バルマは、水龍にあった。


 流体の粘度。


 あらゆる物質の状態の予測。


 情報の記憶。


 そして保存。


 数学の悪魔。


 ラプラスの悪魔。


 保存される情報、そして気体、液体、個体の物質の動きの完全なる予測。



 「分かるか。バルマ。御前に此の真理が。」

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