3rd December

 さぁて。何から話そうか。

 オイラが今どうしてるかって?

 そう、あれからずぅっとこうしてる。


 かくして不思議の国のお話がそだち

 ゆっくり、そして一つ一つ

 その風変わりなできごとがうちだされ――

 そして今やお話は終わり


 ……ってやつ。


 それを繰り返し、また繰り返しまたまた繰り返し。

 そんな世界でだ。




「世界が正気を失うとどうなる?」

「どうもしないさ、世界が消えるだけ」

「それはどうかあるじゃろうて」


 狂ったお茶会のテーブルはいたって正常。


 空飛ぶコショウ瓶が申し訳なさそうにうなだれた。


「うん、でも。これも必然で偶然で蓋然で。気にもするけれど無限の中では取るに足らない事かもしれない」


 唇の端だけ持ち上げるようにして、セルリアンブルーが微笑む。


「いんや、大問題じゃ。クリスマスには全ての祈りにギフトを。そこは譲れんよア・バオ・ア・クゥー」

「そっか」


 ラビは戸惑ってキョロキョロ双方を見上げるだけだ。


「世界にえこひいきは禁止じゃろ? 歪みを戻さんとワシは安心して配達に行けんのじゃがのう」


 恰幅の良い赤色が、白いふさふさとした顎髭を手でいじりながらにこりと笑ってそう呟く。



 さあラビ! ぬいぐるみの刻ウサギ!

 このグロテスクな世界を、エゴだらけの夢たちを。

 子供じみたお伽話を、やさしい語りを、残酷な愚鈍さを。

 それぞれの居場所、夢集う場所に横たえておくれ。

 記憶の中の空っぽな穴に、心の空虚に寂しさ怒りに。

 はたまた愉しげなる想い出の中に。

 そんな輪の中で踊れ踊れ。


 はるか彼方の星に根付き咲いた薔薇の花の願いと我儘のように。


 しおれ枯れ果てた大輪の花のように。


 全ての命と世界を

 繋ぎつなげて走るのだ。



 この贈り物ギフトに君が気づくかどうかは。

 また別のおはなし。



「さて、始まるし終わるし途中なんだ。この物語は」

「お前はもう少しわかりやすく喋れんのかのう……」

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