第2話

 何と言うか初めからカレはちょっと毛色が違っていたように思う。


 クラス委員長の仕事と言う名の雑用を押し付けられたアタシは放課後の教室に一人、同じく押し付けられたノートパソコンで資料作りをしていた。

 グラウンドからは何度か繰り返されるピーっという笛の音の後のパーンと言うスターターピストルの音。

 窓からグラウンドを見下ろすと陸上部が短距離のタイムアタックをしているらしい。

 次に走るのは陸上部のエースと名高いクラスメート。

 6人が並んでパーンと言うピストルの音と共に一斉に走り出す。

 走り終えると、わぁっと歓声が上がり記録が出たのかカレは仲間に囲まれて嬉しそうな笑顔を浮かべている。

 けれど何か違和感。何処か居づらそうな印象を受けた。

 それは今日に限った事じゃなく教室の中でも同じだった。

「あー、人のことより目の前のこれをさっさと仕上げてバイト行かねぇと」

 押し付けられたノートパソコンに視線を戻すと目の端にキラリと光るものが見えた。

 立ち上がって教室の床に落ちていたそれを拾い上げてみると金で縁取られたユニコーンのチャーム。白と薄い紫に彩られたユニコーンはとても可愛くて

「乙女かっ」

 と嫌味を言いたくなるくらい。

 今時の高校生がこんな可愛いものを買うか?

 教室で落ちているから誰かの落し物だろうけどいちいち聞くのはメンドクサイ。どうせ、無い無ーいなんて誰か騒ぎ出すだろうから明日まで様子を見ておこう。

 とっても可愛いユニコーンのチャームをスカートのぽっけに入れて、アタシは残りの作業に取り掛かった。

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