DLC28 学園編の幕開け


「問題はこれなんだよなぁ……」


 そう、DLCの中には、今の状況ではどうも効力を発揮しないものもあった。

 それが――。


 学園DLCパックという中に入っている一連のDLC群だ。

 俺が強くてニューゲームを解放するためには、これを使用していかなければならない。

 俺がそのことで思い悩んでいると、ルミナがちょうど俺にこんなことを言ってきた。

 もしかしたら、俺のやっていることを覗かれていたのだろうか。

 それで気を使われたのでなければいいが……。


「ねえドルク、私……やっぱり学校には行ってみようと思うの」


 俺は真剣なまなざしでルミナを見つめた。


「それは……本心でそう言ってるのか? もしそうじゃなかったら、怒るぞ?」


「ほ、本心だよ……! ど、どうしたのドルク……そんな怖い顔して……」


「い、いや……ちょっとな」


 どうやらルミナは単にそう思っていただけのようだ。

 前々から、いつ言い出そうかとタイミングを計っていたらしい。

 それにしても、そういうことだったらちょうどいいだろう。


「でもルミナ……学校へいくのは嫌なんじゃなかったのか? 自信がないとかって言ってなかったか?」


「うん……でも、今は大丈夫。むしろ、通うのが楽しみなくらいなんだよ?」


「本当か……? それまた、どうして?」


「だって、今はドルクと一緒だもん!」


「ああ…………そうだな……」


 俺も、ルミナと学校へ通えるのはうれしい。

 それに、俺としてもまだまだ魔法はぜんぜんわからないことだらけだ……。

 まあ、俺のこの素のステータスと剣術があれば、別に魔法は必要ないかもしれないけどな。

 それに、俺にはなんといったってDLCスキルがあるのだ。

 これ自体、魔法のようなものだ。

 まあ、魔法を学んでおいて損することはないだろう。

 この世界にはまだまだ俺の知らないことだってたくさんあるからな。


「……と、いうことで学校に行きます!」


 俺はみんなを集めて、ことのあらましを説明した。

 まず、ルミナは学校へ行きたがっているということ。

 それから、俺自身、DLCを発動するために学校へいく必要があるということ。


「ルミナさま……! それでしたら私、ぜひともお供します!」


 レヴィンも乗り気のようだった。

 まあ、こいつはルミナと俺が行くところなら、どこへでも行くやつだ。

 そしてシャルも――。


「にゃあ! 学校、たくさん食べ物がありそうなのにゃ!」

「食い意地の張ったやつめ……」


 なにか学校という概念自体を勘違いしてそうではあるが……。

 とりあえずは乗り気のようだった。


「それで……リィノは?」


 俺は尋ねる。


「うん、私も……笹川くん……。ドルクくんのいくところなら、どこだって! それに、私も魔法は学んでみたいと思っていたの……せっかくエルフに生まれ変わったんだしね!」


「よし、決まりだな!」


 こうして俺たちは、魔法学園に入学の申請をすることにした。

 ちょうど今からなら、二学期の入学に間に合うそうだ。

 中には家庭の事情で、二学期からの入学をする者も、少なくないらしい。

 これなら、変な目立ち方もしなさそうだ。

 一学期は座学が主らしいから、ちょうど面倒な授業もいらなさそうだしな……!


「よし、じゃあみんなで試験に出発だ……!」


「「「「おー!」」」」

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