故郷の密林(12月7日分)

やっと雨がやんで、次の仕事が回って来た。

今は北東に向かう途中だ。

雨で動けない間、フランとは色々な話をしたが、なかでも故郷の密林の話をたくさんかれた。それをメモしておく。


オークが普通に生活する密林は、人間にはかなり危険なところらしい。

植物も動物も毒を持つものが多く、れただけで毒におかされる事もあるという。

しかも草木がうなるほど茂っているせいで、避けて歩けない。

人間が入るには魔法使いが一緒か、たくさん薬を用意しておかないと、死人が出てしまうそうだ。


だがオークや、同じく密林に住む竜は、それらの毒の影響をほとんど受けないそうだ。

実際、たまに妙な味のする草を食って腹を壊す奴はいるが、死ぬのは珍しい。

肌がかぶれる植物はあるが、それもすぐ治る程度だ。

だが全く影響を受けないわけでもなく、俺たちにも薬草として使う植物はある。


しかも俺と同じように、大抵のオークは魔法の影響を受けにくく、魔法で作られる異種族の薬も効きにくい。

この辺りの事は、大陸全体で学者たちが謎だと言っているそうだ。


そもそもオークという種族が、いつ大陸に現れたのかさえ謎だという。

そういった記録はないのか、伝承はないのか、とフランはしきりに聞きたがった。

だが俺は、生活に必要なこと以外は教わっていない。

ましてや人間の言う「歴史」などは全く聞いたことがない。


いつか戻る事があれば、それを調べてみるのもいいだろう。

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