暗闇に射す光のような物語

 まるで童話を読んでいるかのような、読んでいくうちに、とても柔らかいイメージが自分の中で広がっていく感じがしました。

 老人の優しさや強さ、竜が持つ無邪気さ、それらを感じられる文体があり、二人は明確な言葉で会話していないからこそ感じる絆が読後に残ります。

 そうして感じ取った二人の絆に、物語には書かれていない老人の過去や家族を想像させる余地があり、決して長いとはいえない物語であるのに物語の深さを感じ取らされました。