第45話 ハプニングはつきもの

「よしんじゃ風呂上がったら牛乳の自販機前集合にすっか。」


「了解!!!!!」


「わかったわ。」


「了解。」


「オッケー!」


「ということで俺たちは二手に分かれていきましょう、では!!!!!!」


__________それぞれ男湯、女湯へ



(ア〜…男の人の裸がぁ…っ…、ダメ見れない無理恥ずかしいやめていやぁぁぁぁぁ!)


もちろん伊織は心の内で暴走していた。


「伊織お前のぼせるのはやすぎへんか?笑笑もうタコやん。」


「やめてよ…。その…あんまり裸を見るのが得意…でなくて…。」


「んな恥ずかしがることちゃうて〜大丈夫大丈夫。ささ脱ぎやしょう。」


ボク恥ずかしすぎて脱げないよ〜!!!


釘本……ボクの事極力みないようにしてくれてる…ン〜逆にそのほうがダメかもぉ…。



______なんやかんや3人すっぽんぽんで


「いや〜流し湯きもちぃぃぃぃぁぁぁ〜。」


「とけるの早いよ景一笑笑。」


「本番は目の前にあるじゃないか!!!入ろうぜい!」


ボクたちはとりあえず39°Cくらいの湯に浸かった。


『とけるぅ〜〜…。』


一体化しそうでしそうで…この一発目に入るちょうど良い湯加減はたまらない…。


ただなにがあっても理性だけは律している。しっっっっかり股にはタオルを当ててガード。胸はもう…はい。


「あかん風呂屋の風呂気持ち良すぎだろ!ってことでジェットバスいこや。」


『いこう!』




ちょっとまって、ジェットバス…変な声出したら…ダメだ。ボク肩揉まれるのとかすごく弱いんだヤバい。あぁもう止めるわけにもいかないし…耐える。



「うぉ〜これやこれ。気持ちぇぇ〜…。」


「ガチガチの体には最高だな!!!はっはっは!!!」


「お、今は鍵塚おらへんから高笑い放題やな笑笑。」


「…って伊織さっきから喋ってないが大丈…夫…!?」


「おい伊織のとこだけ冷水みたいに体ピクピクしてるやんけ大丈夫か笑笑。」


「い…いいいいや…?べべべべつにへ…平気だよ…?」


「明らか弱い感じだ…伊織…耐えてくれ。」


だめもう耐えられないぃ…声出ちゃうぅ…変な声出たら一巻の終わりぃ…アッ…いィイ"…。


鉄の棒本気で握りしめて…た"え"る"し"か"な"い"ぃ"ぃ"い"……。


「おぉジェットバス終わってもーた。よし次は露天風呂や!」


なん…とか……。瀕死で…。


よ…よしもう大丈夫。


『おーー!!』




「ふぁ〜…。吹き抜けるそよ風が心地よい…。顔と首から下で温度が違うのがたまらんぜ…!!!!」


『ふぅ〜…。』


さすがに露天風呂は気持ち良すぎる…。

そうだ、勝負かけてみようかな。


「ボクさ…実はサウナ得意なんだよね。」


「俺、伊織には負けへん自信あるぜ。」


「俺…実はサウナ得意じゃないんだぜ!!!」


「意外…!釘本、体屈強な感じなのに、意外だね。」


「俺熱には弱いんだよ笑笑!」


「んじゃ俺と伊織、2人でサウナ行ってきますわ。」


「んじゃ俺はここらでゆっくり浸かっとくぜい!!!!」


「よし行こうぜ伊織。まぁサウナ出てすぐ水あるし避難はできるな。」


「端から負けるつもりはないよ景一。」




「いっやアッチ〜〜。」


「これだよこれ…。このアツさがたまらないんだよ。」


「すげぇな、なかなかやるな伊織。まぁでも、負けへんからな。」


「こっちこそだよ。負けるもんかい!」


この時間帯にサウナが無人なのは珍しいな…と思いながらテレビをまじまじと見ているこの頃。横に景一が座っていてか、ボクの体の芯が燃えているのがよくわかる。

すごいアツい。これ…負けるんじゃないか…。


______20分後


「さすがに…俺キツなってきたわ…。」


「ボク…まだ大丈夫。」


口数があからさまに減ってきている。


______さらに10分後


「あかん俺もう無理…出る…この勝負お前の勝ちでいい…。」


「ボクも出る…久々のサウナ…長いこと入るもんじゃない…。」


あぁちょっとクラってする…早く出ないとやばそうだ…。


「俺…出るわ。」


と景一が立ち上がった。


「ボクも出る…。タオルちょっと握らせて…。」


と景一のタオルを軽く掴んで立ち上がろうとしたら…



『うぅおおぉぁあ!!!』



ドスッという音とともに、ボクと景一は倒れ込んでしまった。



「いってぇ…、伊織どうした急に倒れ込んで…ってえぇえええ!?」


「あぁ……あぁああ!!?!?!」


即座にタオルで隠した…。

隠せた…いやこれは隠せてない…ダメだ終わった…。


「い…伊織お前…!」



________一方女湯


「ひゃぁあぁ〜気持ちよすぎー!」


「私とけそうだわ…。」


そう、この2人、伊織のことなんぞ、この温泉の湯に溶けて忘れてしまっていた!


「なんか私たち忘れてること…ない…?」


「え〜、わかんない〜。まぁこの温泉たのしも〜。」


「だね…。」


今まさに伊織完全バレの危機…!!!!!



__________そして…


あ…ああっ…あぁ…。この景一をまたぐ体制の恥ずかしさと性別バレの絶望…。

死ぬ…。


「お前…チ…」


「チ…?」


「チンコ…ちっちゃくね…?」


「え…っ。」


「い、いやお前。ノータオル姿初めて見たけど…毛で…隠れて…みえてへんくね…?」


「え…あ…っ、へ…う、うん…。」


違う…そうじゃないけど景一…!やめて…なんか…心にくる…。

バレてないとはいえ…チン…い…いやぁぁぁぁぁ!恥ずかしい…ぅ…。


「ってこんなんしてる場合ちゃうて。死んでまう。出よう。」


「そ…そうだね!ごめん倒しちゃって。」


「まぁお前に怪我ないんやったら大丈夫や。周りも誰もおらへんかってよかった。また伊織、タコなっとるし、さぁ、上がって水飲もう。死ぬ。」


「う…うん!!」


な…なんとか修羅場は回避した…、けどうぅ…なにかより恥ずかしいものを受けた気がする…。


…この景一の無意識な優しいフォロー…、ボクが景一を好きになったポイントでもあるね…。



ちなみに後の水は全てぶっ飛ぶほどおいしかった。




「釘本〜…って、寝てるじゃん。」


「気持ちよさそうにイスで寝やがって〜。おーい、俺ら出てきたぞ〜。」


「ん…んぁあ、あぁ、楽しんできたかい?」


「あぁ、なんとかハプニングあったけどなんとか。」


「あぁ…ボクも楽…しかったよ!」


「んなら体洗って出ようぜ!!!!」


『おーー!!!』


__________


「いやーマジ気持ちよかったー!!わたしまたきたいー!」


「私も。」


「さすがは店名だけあるな!!極楽湯!!!」


「まぁまぁそして俺らにはまだやることがのこってんすよ…。」


「というと…?」


「風呂上がりといえば…?」


『牛乳!!!!!!!』


ということで各々買って、



『カンパーーーーーーイ!!!!!』



グイグイっと牛乳を飲み干して…


『っぷはぁ〜〜!!』


「これうますぎるよほんと。」


「最高だな!!!!!わっはっはっは」


「うるさい。気持ちいいこの時間にデカいノイズ入るのやめて。」


「すんません。」


「やっぱこのコンビは外されへんなぁ笑笑。」


「ボク、ここの飯屋で食べて帰りたいな。」


「お、それええな。んじゃ食って帰るか!」


『おーーー!!!!!!』


_________飯食って各々帰宅


紆余曲折あったけど、なんとか…バレずに…できた…!!!


ただ…大切ななにかを損なった気がするけど…うぅ、あんまり思い出したくないよぉ〜…。


というか、毛で隠れてた…ってことは毛までは見られてるんだよね…てことは…。


あと一歩で"ない"の…バレてた…!?


あぁあぁ考えるだけで恐怖が…!



…でもサウナ出る時に景一が、


『「もう倒れんように俺が握っとくぜ。」』


って言ってボクの手握ってリードしてくれたの…嬉しかった…。


というか、ここのサウナ、正面ガラス張りだから…もしかしたら誰かに見られてた…!?


ヤバいもう考え出したらまたタコになっちゃうぅ〜!!!!



まぁでも、最高に楽しかったなぁ…。

また行きたいなぁ…。

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