27.剣舞祭第一試合

27.剣舞祭第一試合

「えーと、どれどれ………俺の試合はっと………はぁ ⁉ 第1試合かよ ⁉ 」

 俺が第1試合?準備何もしてませんよ?

「第1試合がまもなく始まります。出場選手は闘技場選手用入り口にお越しください」

 ヤバイヤバイ、もうアナウンス入っちまったよ!とりあえず行くしかないか………

 ―――五分後

 俺は諦めて決闘場の入り口に立った。観覧席は観客で埋め尽くされている。そして、俺の心臓は今までにないくらいバクバクしている。下手したらゼロノスと対峙した時よりも緊張しているかもしれない………

「プニタ、念の為ストレージの中で待機しててくれ」

『オッケー!』

 ストレージの中にプニタがぴょんと飛び込む。

「それでは両者、闘技場の中央へ入ってきてください!」

 観客席の最前列の中央にいる司会(?)らしき人が案内する。

「では只今より、記念すべき第1000回目の剣舞祭を開催しますっ!」

「「「「「オオオオォォォォッ!!」」」」」

 観客席からの完成に耳が痛くなりそうだ。

「それでは今大会の説明をさせていただきます!皆さんすでにご存知かと思いますが、剣舞祭は剣だけでなく魔法も使用できる基本何でもアリの武闘大会です!万が一腕が取れちゃったり、死んじゃったりしてもこの闘技場の結界が試合終了と共に全てなかったことにしてくれるのでお気になさらず、全力で闘ってください!」

 今、かなり物騒なことをサラッと言わなかったか、あの司会さん………

「それでは早速第1試合、期待のルーキーBランク冒険者リュート選手対Aランク冒険者カイゼル選手の試合を始めます!それでは、始めっ!」


 俺はストレージから木剣を取り出した。この試合ではあえて鮮変万華は使わないでいくつもりだ。鮮変万華は結構貴重な材料でできてるらしいからな………下手に目をつけられるのは勘弁願いたい。

「貴様ァ、このカイゼル様に木剣一本で挑もうとしてやがるのか!調子に乗ってるみたいだから、少し教育しないとなぁ!」

 そう言ってカイゼルは雄叫びを上げて背負っていた大剣を振り回しながら突っ込んできた。はぁ―――Aランク冒険者っていうんだから少しは期待したのにな………これじゃあ俺のギルド入会試験のときの誰だっけ?ニート兄弟(?)(注:アーク兄弟です)と一緒じゃないか。

「―――縮地」

 体を大きく前傾させ、重力を利用して素早く移動する。そうして俺は一瞬でカイゼルの元いた場所に移動した。当然カイゼルが大剣を振り下ろした場所は地面が割れただけで、そこに俺の姿はなかった。

「貴様ァ!一体何をした ⁉ 」

「悪いが俺は地面を蹴ってお前の後ろに跳んだだけだ」

「そんな訳あるか!それならば………くらえ、ライトニングッ!」

 カイゼルは大剣に電気を纏わせ、それを地面に突き刺し、俺を感電させようとした―――が、俺はあえてその場に立ち続けた。そして地を這った電気が俺の足に直撃し、激しい土煙が舞った。

「やったか!」

 カイゼル、それ死亡フラグっていうやつな?

「な、なんで、俺のライトニングをくらって平気で立っていやがる ⁉ 」

「いや、単にこの電気が弱かっただけだ」

「弱かっただと ⁉ 」

 まぁ、そりゃあ当然とも言える。なんせこの俺の履いてるブーツは龍殺しの森でゼロノスからもらった鱗で作った至高の逸品だからな!しかも当然このローブと同じように物理攻撃、魔法攻撃無効(相手が自分より弱い場合に限る)を付与してある。だからそんなチンケな雷魔法は効かないんだよなぁ〜

「あぁ!そんな攻撃効きやしない!」

「ふ、ふざけるなぁぁぁぁっ!」

 わかりやすい真っ直ぐな突進。躱すことなんて屁でもないな。もう、終わりにしていいか。あんまり収穫なかったなぁ………

「―――縮地」

 俺は縮地で距離を一気に詰め、カイゼルの首にストレージから新たに出した短剣を押し付けた。もちろんこれは街の市場で買った短剣だから、見られても何ら問題はない。

「動くな。動けばこの首を飛ばす………」

 ちょっと低いトーンの声で脅すように言って、魔力の一部を体の外に放出してみた。すると、何やら水のようなものがカイゼルの足を伝って流れていくのが見えた。

 あちゃぁ〜、失禁させちゃったよ。どうしようかな………まぁいいや、とりあえず気絶させちまえ!

 ドサッという音と共に自身の水溜りの中にカイゼルは倒れた。

「な、な、な、なんと!Bランク冒険者のリュート選手がAランク冒険者であるカイゼル選手を秒殺してしまいましたぁっ!あぁ、しかもカイゼル選手、何故かは分かりませんが失禁もしている様子です!」

 うわぁ、それ言っちゃうんだぁ………本人起きてからが大変そうだなぁ。


《スキル「脅迫」「魔力放出」を獲得しました》


 おいおい、脅迫って………一体何に使うスキルだよ………

 久々にスキル(嬉しいかはさて置き)を獲得した俺はその後も順調に勝ち進んでいき、ついに準々決勝を突破して準決勝への切符を得ることができた。





リュートのステータス

Lv:46497

種族:50%人間

HP:測定不能エラー

MP:測定不能エラー

装備:ローブ(等級:測定不能)、剣(等級:測定不能)、指輪(等級:測定不能)

獲得スキル一覧:

(剣術系)縮地、絶対切断、次元切り、持久力、駆け足、神速移動、斬撃範囲拡張

(魔法系)苦痛耐性、錬金術、生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、聖魔法、闇魔法、時空魔法、空間魔法、ストレージ、ダストボックス、転移魔法、創造魔法、テイム、魔物意思疎通、魔物召喚、付与魔法、浮遊魔法、飛行魔法

(その他)手加減、自動解体、隠蔽、気配遮断、脅迫、魔力放出

ユニークスキル一覧:ナビゲート、神眼、成長加速

称号:異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴、修行バカ、ドM気質、ドMを極めしもの、剣神、魔帝、鬼殺し、神を模倣する者、神龍の友、空の覇者

加護:神龍の加護

鮮変万華の技:

『炎刃』一式「絶火」二式「不殺の炎」

『風刃』一式「殺爪」

『炎風刃』一式「炎嵐」

『氷風刃』二式「凍龍」

『吸魔の太刀』滅光斬

『彩刃』一式「輝夜の舞」

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