嵌められた元勇者 〜チートスキル《破壊者》で魔王と共に下克上〜

@Bornite

エピローグ 裏切り

…なぜこんな目に…!!

……一体…なぜ…!

…ざけんな…!!

…………っ!!

……っふざけんなよ………!!

………っざけんなぁぁぁぁあああああああ!!!!



…ねぇ…

…くん!…

………いち君!!……

「…龍一君っ!!!」


そこには高校時代の同級生、君島愛がいた。


「龍一君!やっと目が醒めた!良かったー!!!」


「ちょっ、待て…君島…どうしてここにいるんだ?」


「こっちが聞きたいよ!ここはどこなの?」


見渡す限りここは知らない森の中。

俺が覚えている限り、最後にいた場所は魔王城のはずだ。

…そうだ!!!

思い出した!!!


俺は勇者だった!!

魔王と幾度も戦い、

最後の戦いで、

あいつは言ったんだ!!


「…はぁはぁ…おい…勇者、お前は信じるか?はぁ…人間が…っぐぅ…ふぅ…魔界を潰しにきた…我らは…お前らが来なければ…はぁ…何もしなかったと言ったら…っ!」


俺は呆然としていた。

呆気に取られていたんだ。

異世界から帰る手段として、魔王を倒す。

それだけしか考えてなかった。

幾度も幾度も刃を交えた魔王。

なぜか全ての戦場に颯爽と現れる魔王。


もし平和な現世なら何でも言い合えた親友になれたかもしれない…

もしこれが違う形で出会えたなら…

もし姿も一緒の人間だったら…

もし一緒の魔族だったら…

もしかしたら…


《人間が悪かったかもしれない》


その思いがよぎった時!!


「おい!!勇者!!うし…!!」


気づいた時は胸から銀色の鈍い光が突き抜けていた。


「…なんだ…これは…」


薄れゆく意識の中ではっきり聞こえた!


【ごくろうさんっ】


ーーーーーーーーーー


「ぅぁぁぁああああああああ!!!!」


俺は憎悪と怒り、刺された感触や俺を卑下する声を思い出し、

激しく荒ぶった。


「龍一君っ!!…っ!どうしたのっ!?どうしたのっ!?大丈夫っ!?」


「ぁ…ぁ…お…俺…し…死んで…あ…ぁぁぁ…」


「大丈夫だよ!!!大丈夫!!」


君島は俺を抱き締め、そう言った。


「龍一君はここにちゃんと居るよ!私もここに居るから!!」


「…ぅ…う…うあ…ぁぁあああ…はぁ…ぅぐっ…」


「大丈夫!大丈夫だから!!」


君島は俺が落ち着くまで抱き締めてくれた。

俺は初めて人前で鼻水を垂らすまで、声が枯れるまで泣いた。

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