011 頼まれた依頼

「取りあえず、立ち話もあれだし、ギルドに場所を移そうよ」


「…そうね…わかりました。移動しましょう」


僕がそう言うと、美少女もうなずく。

僕ら4人はギルドへ戻った。


「おかえりなさい~!ガランさんにウィルくん!」


ミーナさんが笑顔で僕らを迎えてくれた。


「あれ?そちらの女の子は…どちら様?」


蒼い髪のシンデレラと金髪碧眼の美少女を見て首をかしげるミーナさん。

依頼を終えて帰ってきたと思ったら2人女の子を連れているというのは、誰でも変に思うだろう。


「すいません、その話はまたあとで…あはは…」


「えー気になるー。ウィルくん、後で教えてよねー!」


1から説明していては大変なので、僕はミーナさんに平謝りしながらそのままギルド内のテーブルに着いた。




「それで、詳しく聞かせてもらおうか、そのお願いについて?」


ガランさんが金髪碧眼の美少女に聞く。


「……はい。まず、あなたたちの戦いを影から見ていてすいません…先ほども失礼いたしました、熱くなってしまってつい先走ってしまいました…」


「いいよ、全然。それより君は一体何者なの?」


俯く彼女に僕が聞く。


「あ、申し遅れました。私はクレイアリエス皇国の王女、ソフィ・クレイアリエスと言います」


「クレイアリエス皇国の王女ーーーー!!??」


ドンとテーブルを動かして立ち上がったのはガランさんだった。


「す、すまない……いや、でも、なんでクレイアリエスの王女がここに…」


「それは、数週間前、私の国に雷の龍が突然やって来て……国を襲ったのです。その被害は甚大で、私の母も…犠牲に……」


目に涙を浮かべながら話すソフィさん。


「私はその仇を討つために、国を出て雷の龍討伐に向けて力を貸して頂ける人を探していたのです。情報を集めながら各地を回っていたそんな時、あなた方の戦いぶりを見て、この方たちならもしかしたらと!…お願いさせて頂いた次第です」


「…なるほど、そんなことが……」


ガランさんはかなり驚いた様子だった。

クレイアリエス皇国は南の方にある国。レギネシア王国と比べると小国ではあるが、その豊富な資源を活用した外交や、優秀な兵士の育成などしっかり国民も国も守っている国だ。

そんな国が、雷の龍という一匹のモンスターによって王女が犠牲になるほどの被害をもたらされるとは。


その雷の龍。相当強いな…。


「お願いします、協力していただけませんでしょうか?もちろん報酬はお支払いします!」


ソフィ姫が頭を下げてお願いしてきた。


「…どうするんだ?ウィル?」


ガランさんが僕に耳打ちする。


「うーん……」


横に座るシンデレラの顔を見る。

これからのことを考えると、金は入用になる。シンデレラの事もあるし。


のんびり田舎暮らしをするための資金をこのお姫様から一回でもらえるなら、それも良いかな。


「わかったよ、協力する」


「ほ、本当ですか!!?ありがとうございます!!」


ソフィ姫が僕の手を握って喜んでいる。


「や、やるのか?ウィル。相手は一国を落としかけた強敵だぞ??」


隣のガランさんは心配している様子。


「…話を聞いて、無理ですとは言えないよ、ガランさん……」


「ま、まぁそうかもしれんが…いくらあの白い龍をやったお前でも…これは……」


ガランさんが俯きながら心配をしてくれている。


「もし、危険だと判断したらその時は、逃げて頂いて構いません。あとは、私が……」


ソフィ姫がグッと悲しみを堪えた表情をして僕を見つめる。


「大丈夫、そうはならない様に、精一杯がんばるよ」


「…ありがとうございます……えっと……」


「ああ、自己紹介が遅れたね。僕はウィリアム・ベン。ウィルでいいよ。こっちはガランさん、こっちの眠そうにしているのがシンデレラ」


左右に座るガランさん、とシンデレラをそれぞれ紹介する。


「よろしくお願いいたします!ウィルさん!ガランさん!シンデレラさん!」


「うーーん、ウィル、もう眠いよぉ……」


シンデレラが目を擦りながらあくびをしている。そろそろ限界に近そうだ。


「す、すいません!!お疲れの所!」


「いいよ、これから宿を取ろうと思っていたところだから」


ソフィ姫が慌てて謝るのを、大丈夫だと僕は言う。


「今日は色々あったからな、ゆっくり休め」


ガランさんが僕の肩に手を置いて優しく言う。


「ありがとうございます…ソフィさん、そのモンスターの討伐はいつを予定していますか?」


「はい、早ければ明日にでも…」


「そのモンスターの居所の目星ついていますか?」


「城の兵士たちの情報をかき集めて、目ぼしいところはあります。そこには、レギネシア王国の王直轄ちょっかつの冒険者パーティーに行ってもらっているのですが、あれから連絡がなくて…」


「…なるほど、じゃあとりあえず明日はそこに行きましょう」


「はい!」


こうして、僕らはギルドを後にした。

ミーナさんは、後で説明してよ!と怒っていたけど、シンデレラがもう限界でギルドを出るころには眠ってしまい。僕が背負って宿に行くことになったので説明はまた今度になった。


ガランさんに紹介してもらった宿に泊まる事になり、一部屋を借りた。


「ふぅ……女の子一人背負うのも大変だなぁ」


シンデレラをベッドに寝かせて一息つく。


「気持ちよさそうに眠ってるな……」


蒼い髪が月夜に照らされて、美しく幻想的な空間を作り出す。


「お前は一体何者なんだ……シンデレラ…」


「うーん、むにゃむにゃ…もう、食べれないよぉ…すぅ…すぅ…」


シンデレラに毛布を掛けてあげる。


「まぁ、今考えても仕方ないか…」


今日の疲れもある。僕はその後直ぐにベッドに入り、寝ることにした。

明日はまた大変になりそうだ。

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