訳有り姫の蒼穹探訪記 Ⅰ

古山神

第 Ⅰ 部 放浪編 ~前世の記憶を供に~

第1章 覚醒~脱出

第1章 覚醒~脱出 1 目覚め 1


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


・・・ホウッ


混乱していた心の中が少しずつ整って、私という意識が浮上してきました。


まどろみの中で私自身を自覚していくと意識がハッキリしてきましたね。


ゆっくりと目を開けるとやや暗いけど部屋の中で横になっているのが判ります。

フム、前世の記憶からすると、まずここはこう言ってみるのがお約束でしょうか。


「知らない天井だ」

有名なアニメの主人公のセリフを言える機会があるとはね。


「セラちゃん!起きたのね。大丈夫なの?」


混乱は収まって、甦った40年近い前世の記憶とまもなく6歳になる『セラステラ』との記憶が一つに繋がった。

どちらも「私」だという意識があるから、衝撃で前世の記憶を思い出した、と言う事なんですね。


前世の「私」は、兵器開発の技術者として数年掛りで機器開発に取り組んでいましたね。

チームの中心の一人だっただけに、努力が実を結んで形に成ったのが嬉しく、チームの皆と喜んだのを思い出します。

だからこそ、その成果が基地の実験場での動作試験の最中に目の前で爆発したショックは、筆舌に尽くしがたかったんですよ。


やはり上の圧力に負けて十分なチェックが出来なかったのが原因かな。

実績作りに懸命で性急に結果を求める上司に代わったからね。


文字通り努力が吹き飛ぶと言う結果に、頭が呆然となったショックと体への衝撃が重なったのが最期の記憶だから、この前世の記憶が甦ったのは衝撃繋がりかな。


「セラちゃん!ねえ、大丈夫なの!」


さて、意識は戻ったものの、考えないといけない事が山積みですよね。

先ずは、心配している幼なじみに静かにしていてもらいましょう。


ジャラっと音を立てながら、手を頭に当ててみる。

包帯が巻いてある様なので、手当はされているのですね。

少し頭を動かして周りの様子を見てから、


「セラちゃ 「頭が痛いからもう少し寝る。静かにしてねマリ」 う、うん・・」


マリアルナは内弁慶で、私には遠慮が無いけれど、根は優しくて気が利くから、こう言っておけば静かにしていてくれるでしょう。

さて、イロイロ考えないとね。


しかし、6歳未満の幼女の私が、異世界の成人男性の記憶を甦らせるとはね。

甦った記憶が繋がるのに混乱して時間がかかった筈ですよ。

手首の鎖を一睨みしてから目を閉じた。

まったくハードモードな事ですね!










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プロローグ1

開幕!

初めての創作で手探り状態。

ラストで判るとおり捕虜からのスタート。


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