第51話 もしかして何か隠してない
「れ、れ、れ、レベル300!?」
「まぁレベルだけはな。毎日上がるから。けど、ステータス自体はそこまでじゃないはずだ」
「いやいや、普通にステータスも高いから!」
「そうか? まぁ装備による上昇分が大きいけどな」
なお実際の強さには、装備の持つ攻撃力とか防御力が加わることになる。
金ちゃんに鑑定してもらったところによると、どうやらそれらも規格外の数値らしい。「それだけで国宝級でござるよ!」とか言ってたっけ。
「……あたしはこれよ」
真莉が自分のステータスを見せてくれた。
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加藤真莉
職業:天聖騎士
レベル:25
HP:3494 MP:1947
筋力:264 耐久:326 敏捷:209 魔力:195 精神:291
ユニークスキル: 天聖の守りLV5
スキル:剣技LV5 盾技LV3 頑丈LV3 白魔法LV3
SP:200
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「HPは俺より高いんだな。けど、それ以外は……」
装備による上昇分を除いた、俺の素のステータスよりも低い。
「天聖騎士はその特性から、HPや耐久が一番伸びやすいのよ。それでも、見ての通りあなたのより低いわ。筋力なんて三倍近く違うし……。言っておくけど、天聖騎士は数ある職業の中でも最上位クラスなのよ? さすがに勇者ほどじゃないけど」
「マジか」
「あと、スキルの数もおかしいでしょ。保有スキルポイント3200とかも」
レベルアップと共にスキルポイントが入ってくるからだろう。
「そもそも一年経ったし、もっとレベルが上がってると思っていたんだが」
「20を超えたくらいから急に上がりにくくなるのよ。今は一か月でせいぜい一つ上がる程度だから。まぁもっと難易度の高いダンジョンに挑んだりすれば、また別だろうけど……」
どうやら上位層のクラスメイトたちが、どんどん他の国へと引き抜かれていってしまったのには、この国に高レベル層にとって、レベル上げに適した場所が少ないという理由もあるらしい。
「まぁ何にしても、俺は今後も変わらず引き籠り続けているべきだってことだな」
「……そ、そうだけど」
幾ら俺を外に連れ出したい幼馴染であっても、この職業の特性を考えたら引き下がるしかないだろう。
「た、食べ物とかは大丈夫なの?」
「さっき言った通り、通販スキルで幾らでも取り寄せられるから問題ない」
「掃除とかも……」
「見ての通りちゃんとしている」
……掃除が終わった後でよかったぜ。
ついさっきまで、レーニャがめちゃくちゃにしてた――
「はっ!?」
「どうしたのよ?」
ま、マズいマズいマズい!?
忘れていた!
今この部屋に住んでいるのは俺だけじゃない!
レーニャもいるのだ!
幸い炬燵の中に潜り込んで寝ているようで、まだ真莉にはバレていない。
だがもし俺が幼女と二人きりで同居しているなんてことが知られたら……。
どう考えても誤解されて、とんでもないことになる……っ!
向こうの世界と違って、この世界では別に見知らぬ子供を家に連れ込んだことで罪に問われることもないのだが、そんな理屈が潔癖な真莉に通じるはずがない。
「と、まぁ、そんな感じだから……」
俺は暗に真莉を部屋から追い出そうとする。
それが逆効果だった。
「……何よ? 久しぶりなのにもう帰れっていうの?」
「あ、いや、その……」
「もしかして何か隠してない?」
女の勘、鋭すぎない!?
「もう少しゆっくりしていってもいいでしょ。というか、この炬燵もその通販スキルで取り寄せたの? この世界にはないからなんだか懐かしい感じするわね」
「わあああ、待て待て待て!」
炬燵に入ろうとした真莉を慌てて止める。
「……なるほど。炬燵の中ね? 何かを隠してるのは」
「っ……ななな、何にもないって!」
「もしかして、また、エッチな本とかじゃないでしょうね!? そういうのも取り寄せたりっ……ああいうのは十八歳になってからじゃないとダメなんだから!」
エッチな本だったらまだマシだっただろう。
実際には生身の女の子が入っているのだ。
「見せなさい!」
「ちょっ」
無理やり俺を押し退け、炬燵布団の中へと手を突っ込む真莉。
その手が中で寝ていたレーニャに当たったらしく、
「ふぎゃっ!?」
「……へ?」
……終わった。
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