第8話 本当に元の世界のものだ

「通販……?」


 レベル100になったためか、新しいユニークスキルを取得できるようになった。


「え? もしかして、注文すれば配送してもらえるってこと?」


 だが一体どうやって注文するのだろう。

 そしてどうやって配達されてくるのか。


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 通販 100

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 疑問だらけだが、必要なスキルポイントは100だ。


「部屋セキュリティも強力なやつだったし、取っておいて損はないだろうな」


 実際に取得して、どんなことができるのかを確かめておきたい。


〈通販を取得しました〉

〈通信販売が可能となるユニークスキルです。金品を支払うことで商品の購入ができます〉


 目の前にウィンドウが出現した。

 そこには購入できる商品が写真付きでずらりと並んでいる。


 その光景には見覚えがあった。


「って、これ完全にアゾマンじゃん。え? ということは、元の世界の商品を取り寄せられるってこと?」


 もしそうだとすれば、何もすることがなかった引き籠り生活を、一気に充実したものにできるはずだ。


 そもそも引き籠りにとって、通販は必須の存在だからな。

 それが「ひきこもり」のユニークスキルとして取得できるようになるというのは、非常に理にかなっていると言えるだろう。


 念じることでカーソルを動かせた。

 さらにクリックして商品ページへと飛ぶこともできるようだ。


 ただ、幾つかの商品のページに飛ぼうとすると、なぜかエラーが出てしまう。


〈そちらの商品は購入いただけません〉


 色々と試してみたが、どうやら今は食べ物や飲み物だけしか買うことができないらしかった。

 恐らくレベルを上げていけば、もっと色んな商品を買えるようになるのだろう。


 空腹耐性のお陰で食事が必要なくなっているため、食料品を買う必要はないのだが、試しに注文してみる。


「腹は空かないが、無性にポテトチップスが食べたい気分だな。値段は……十二袋セットで1200ゴールド……なるほど、この世界のお金で支払うことができるのか」


 文明水準などが違う現代日本とは安易に比べることはできないが、だいたい1円=1ゴールドと考えておけばいい気がする。

 ポテトチップスって一袋100円くらいだしな。


 なお、俺が王宮から貰ったお金が100万ゴールドで、この部屋の一か月の家賃が2万ゴールドである。

 五年暮らすとお金が枯渇するのだが、そのときどうするかはまだ考えていない。


「だからあまりお金は使いたくないんだが……まぁ、少しくらい大丈夫だろう」


 俺はポテトチップス十二袋と500mlのコーラを注文した。

 通販だからか、一個単位では売ってなかったのである。


 次の瞬間、何の前触れもなく玄関に段ボール箱が忽然と出現していた。


「今どこから現れたんだ……? ファンタジー世界で細かいこと気にしても仕方ないか」


 箱を開けるとそこには確かにポテトチップスとコーラが。


「すげぇ、本当に元の世界のものだ」


 早速ポテトチップスの袋を開けてみる。

 ちなみに塩味。やはり王道の塩味が一番だ。


「う、美味い! こんなに美味かったっけ!?」


 実に100日ぶりの食事だ。

 腹は減っていないとはいえ、久しぶりの味覚への刺激に手が止まらない。


 気が付けばあっという間に食べ切ってしまっていた。


「うーん、ダメだな……もう二袋目を食べたくなっている俺がいる……我慢せねば」


 意識を切り替えるべく、俺はこのユニークスキルのレベル上げについて考えることに。


「もちろんポイントの限り上げていく、の一択だよな。生憎お金がないから注文できるか分からんが」


 というわけで、残りの900ポイントを使い、通販スキルをレベル4まで上げた。


〈通販がLV2になりました〉

〈通販がLV3になりました〉

〈通販がLV4になりました〉


 レベル2では、家具やインテリア、それからキッチン用品などを買うことができるようになった。

 レベル3は医療品や日用品、それから美容グッズだ。

 そしてレベル4では、衣類や靴、それに鞄や時計などである。


「予想通り、レベルが上がると購入できるジャンルが増えていくみたいだな」

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