多重次元世界シリーズ1 とりあえず、人気乙女ゲームの(超絶美少女)主人公に異世界転生しましたミ☆いや、ちょい待て、前世は体育会系ヲタ男子だったんだが?

うすしoh

プロローグ

とりあえず、乙女ゲームの(超絶美少女)主人公に異世界転生しましたミ☆いや、ちょい待て、前世は体育会系ヲタ男子なんだが?


        プロローグ



 真っ暗な空間があった。


 そこに一つのスポットライトのような光が差し込む。


 光の中には、一人の少女と思しき姿が浮かぶ。


 まるで作り物の美しい西洋人形のように完全なるシンメトリー然とした造形美。


 腰まで伸びた美しい髪は、見る対象、見る角度で虹彩が変わる完全なる虹色。


 ただ、ただ、少女を評する言葉は、美しい以外必要がない。


 観る対象にそう強制できるだけの圧倒的な完成された美が其処に存在している。


 そんな少女は、光の中で完全なる美にあまりに不釣り合いである獰猛な笑みを浮かべ、身につけていた白衣のような外套を翻した。


 「やあっ!レディース、アーンド、ジェントルマーンっ!!」


 少女は光の中をクルクルと廻りながら楽しげに語る、語る。


 「これからボクが語るのは、君たちと同じ一人の地球出身である人の話だよ」


 「あ、ボク?ボクは高位次元管理者。名前は、まだない。こう見えてボクは誕生してまだ時が浅くてね、ざっと1700億光年位のまだまだ新参者なんだよ?」


 「光年は距離を表す単位?そんな君達の都合になんでボクが合わせなきゃいけない?せっかくボクが想像しやすい表現を使ってあげたというのに」


 「大体、君達はボクらの創造主達が作り上げた実験空間における、文字通りの実験動物でしかない」


 「は?神?そんな存在ではないよ、創造主はね。まあ、ボクも会ったことはないんだけど?そもそも、神だなんてあやふやな存在をよくもまあ君達は真顔で言えるものだね」


 少女は何が楽しいのか、突然、大爆笑を始めた。それは、極めて異質な様だが、如何なる者もその有り様を正す事はできない。何故なら、そこには少女しか存在し得ないからである。


 「はぁー、笑った、笑った。で、だ。君達は、次元と聞いて何を想像するかな?一次元、二次元、三次元、エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ!次元が空間を指し示す単位?まあ、ある意味正解だけど、ざーんねーん!はぁ、馬鹿馬鹿しい。分かっていないようだから、ボクから真実を話そう」


 少女は、仰々しく両腕を開く。


 「正しく、次元とは、全く有り様が異なる世界と世界を隔てる壁、もしくはその隔たりにより、他世界と完全に確立した世界そのものを指すのが、正しい次元の用い方だよ?」


 「だからこそ、我々が管理し、君達が生きる実験世界を、創造主達は、こう名付けた!」


 「幾重にも存在する、有り様、在り方をした異なる次元、すなわちっ!多重次元世界だとっ!!」


 「おっと、いけない、いけない。この手の話はついつい語るクセがあってね。気をつけてはいるのだけど、なかなか熱く語れないから、語れる時は暴走しちゃうのさ、いや、済まないね?」


 少女は一つ咳払いをすると、そして、、、と続ける。


 「君達も長ったらしいボクの話もさして聞きたくもないだろう。だから、始めるとしようかっ!」


 「改めて言おうか。この話は、君達と同じ地球人類出身者だった、ある人物が、ドラゴンや魔法などが存在する、とある次元世界に転生した話さ」


 「まあ、本来、彼はこちらで早々に死ぬ予定になかったんだけどさ・・・、あー、うん、詳しくは君達に見て貰えば分かるだろう」


 そうして少女は可憐な舞を舞うようにクルリと回転した後、両手を高々と掲げ宣言した。



 「さあっ!開演だっっ!!」




          ◆



         

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