第14話 お隣さんとの夕餉

──あさごはんを一緒に食べよう──


サンドイッチくらいしかできないけどいいのかな?


「…最近よく喋るね…」

私は目が覚めると犬神様にそう言った。


「わん」

犬神様は実にどうでも良さそうにそう吠えた。


「まあ…!」

奥さんは驚いて目を輝かせた。


「おいしそー」

息子さんは平坦な口調でそう言った。


よいよい。よく味わって食べ給え。薄給では結構なごちそうなのだ。


「今晩のお夕食はお決まりですか?」

奥さんはそう訊いてきた。いえ?全然?


「では少しお返しにを…」

そう言って奥さんはにっこりと微笑んだ。何だか初めてみる笑顔な気がした。


その夕方に奥さんが夕飯を持ってやってきた。


「うわあ、ひつまぶしじゃないですか!」

やったぜサンドイッチがうなぎになったぜ!


「あとこれは、えーっと、その、ふるさと納税の返礼品で…」

へえふるさと納税って伊勢丹から来るんだ?


開けてみたら生ハムとチーズとあとステーキだった。


「犬神様には丁度いいかなって」

そう言って奥さんはお皿に盛り付けてくれた。


「…うっま!」

私は生ハムというのは初めて食べたがこんなに美味しいなんて!


「なにこれ!?肉なのに溶ける!?」

驚いて声を上げた。奥さんはにこにこしている。


「喜んでくれてよかったです」

奥さんは本当に嬉しそうにしている。


「あーおん!」

犬神様もステーキを食べて驚きと歓びの遠吠えをした。


「こんなおいしいもの食べたことがありませんよ!」

犬神様がそう言っているように聞こえた


「おいしー」

息子さんもとても嬉しそうだった。


三人と一匹の夕餉は割と結構楽しく過ぎていったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る