16にゃ にゃんこ。揉まれる


 そう。

 まえにもこんなことがあった。

 部屋のドアを閉められ、外に出られないと言う事が。


 われは外に出ようと、玄関らしき大きいドアや、窓からジャンプしたが顔をぶつけてしまった。

 この旅館は、何かの結界に閉じ込まれているようなのだ。


 こういう時役に立ちそうなクロイは、一週間前われが起きたときにはもうその姿はなかった。

 あったのは畳んである布団と、置き手紙。

 昨日着替えた服や、置いてあった箒などは無くなっていた。

 ちなみに置き手紙にはこう書かれていた


『にゃんこへ。

 私は行く場所があるのでここで大人しくしてて。

 ご飯はここで働いている者が持ってくるはずだよ』


 全く勝手なやつである。

 われは一刻も早く帰ってダラダラ生活したいのに。

 と、周りが竹の景色を見ながら思っていた。



♡★♡★



 今のわれの顔を、レインが見たらさぞ驚くだろう。

 なぜなら………溶けているからだ!! 

 そうれはもう、氷が溶けているような顔だ。


 こうなったのは少し前に遡る……。



 われは暇だったので、てーぶるにあったるーむさーびすなる物を頼んだ。何か美味しい食べ物が来るのだと期待していたが違った。


 来たのはピンク色の髪をしたちっこい女だった。

 その女曰く、このさーびすは体揉みほぐしだったらしい。


 われとしたことが……見落としていた。


 せっかくなので揉みほぐしを受けようと思ったが、このちっこいのがやるのかと不安になり、『ちぇんじにゃ』と言ったが承諾してくれなかった。 

 どうやら、揉み師はちぇんじ不可能とのこと。


 仕方なく寝そべってやり、その揉みほぐしを受けてやる事にした。

 期待はしてない。

 アネットに勝る手つきの奴なんているはずが無いからな。


 だがわれは油断していた。


 まず、女が触ってきたのは背骨。

『ほう』と感心してしまった。


 アネット曰く、


『背骨で気持ちよくする人が現れたらその人は神です。揉みを極めた神、揉み神様です。私でもできないんですから……。あそこはデリケートなんですよ。とくにミーニャ様は。私にはまだ早すぎます。あと、100年……いや、200年ぐらい修行すれば出来るようにはなると思うんですけど』


 そう言っていたことを思い出し思わず息を呑み、その手を待っていた。


 それは唐突に来た。

 背中が痺れるような感覚。

 痛くは無い。

 これはそう………快感。


 そしてその手は止まることを知らないようだ。

 背骨を上と下を行ったり来たりし、気持ちいい場所を的確に揉んできた。


 そして、今のわれに至るのだ。

 

 何度も快楽に負けそうになったが、何とか理性を保ち揉みほぐしは終わった。


 そしてすべてが終わり、われがうとうとし始めていた時、ちびっこは理解し難い事を言ってきた。


「魔王様……ありがとうございます!」


 目を赤くしながら胸の前に手を添えて。













 

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