11にゃ にゃんこ。騙される


「ここ、どこだにゃ………」

「グレーデ王国の近くにある、大森林。

 ここは魔物が多くて立ち入りが禁止されているの」


 われに歩み寄りながら銀髪女は言ってきた。


「にゃ!?

 ま、魔物が出るのかにゃ!?」

「そうね。でるわ。

 ネデミからドラデンまで。

 大小問わず、色んなのがいるわ」

「にゃにゃにゃ……怖いにゃ!」


 そう。

 われは魔王でありながら、野生の魔物は怖い。

 だって、われの事食べようとしてくるんだもん。


「あなた、魔王なんでしょ?

 魔王ならこの程度怖がらないと思うのだけど?」

「魔王も怖いものは怖いのにゃ!」

「そう。  

 で、あなた行く場所あるの?」


 銀髪女はわれの前に立ち、見下ろしながら言ってきた。


「にゃ……どうしよう………レイン達はプリータ王国だし、ここ何処かわからないし………にゃぁぁぁ!!レイン!!助けに来るにゃぁぁぁ!!」

「はぁ〜……。で、その飼い主のレインさんはプリータ王国にいるのね?」

「飼い主じゃないにゃ!!われの部下だにゃ!」

「いるのね?」


 顔をわれの目の前へ近づけてきた。


「にゃ……。いるにゃ」

「なら、ここに居られても困るから私が連れて行くわ」

「にゃ?連れて行く?

 っふ。何いってんだにゃ。

 われは一人で帰れるにゃ」


 そう。

 こんな女の力なんて必要ない。

 だってわれ魔王だし!


「そ。なら、魔物がうようよいる森から一人で出ればいいわ」

「ごめんなさいにゃ。

 助けろにゃ」

「助けてくださいは?」

「助けてくださいにゃ。

 われが見栄張ってごめんなさいにゃ」

「……よろしい」



「ところであなた名前は?私はクロイ」   


 われをベットにおろし自己紹介をしてきた。


「われはミーニャにゃ」

「じゃあミーニャ。

 早速だけど出発するから、この中に入って」


 そう言って、指を指したのは自身が首から掛けているポーチだった。

 入れない事はないけど、多分顔だけ出ちゃうな。

 

「にゃふ?

 わ、われがその中に?」

「そうよ。

 早く入って?」


 …………。

 なんかやばい気がする。

 これは猫の本能か……!?

 『禍々しいオーラが見える!』

 なんてことは無いが、われはこのポーチから嫌な気配見たいのを感じる。

 とにかくこのポーチはやばい。

 

「そのポーチ……。大丈夫かにゃ?」

「ん?どういう意味かよく分からないけど、特に何もないと思うのだけれども?」


 行きたくない。

 なんか嫌な予感がする。


「にゃ………。もう行くのにゃ?

 われもっと寝てたい」

「この中でも寝れるわよ?」

「それは本当かにゃ?

 酔ったりしないにゃよね?」

「う、うんしないしない」


 まぁ……行くか!

 ん?

 

「歩いていくのかににゃ?」

「そんなわけ無いでしょ?

 歩いていったら1年はかかるのよ?」

「じゃあどうするのにゃ?」

「これに乗っていくのよ」


 手に茶色のソレを持っていた。


「箒?」



♡★♡★



「にょげぇぇぇ………」


 われは浮遊感に負けている。

 そして今われが食べたものが空に舞っている。

 それもこれも全部こいつのせいだ。

 

「ちょっと!汚いじゃない!

 あっち向いて吐きなさいよ!」

「黙るにゃ…………うそつにょげぇぇぇ………」

「あなた!

 そんなんなら先に言いなさいよね!」

「われが酔うか聞いたときに嘘ついたクロイがわるいにゃ!」

「っぐ………。申し開きもございません」

「もっと、ちゃんと誠心誠意謝るにょげぇぇぇ……」


 そう。

 土下座とか。

 土下座とか。

 土下座とか。

 土下座とか。


「うわ………汚っ」 


 失礼な奴。


「にゃあ……にゃあ……早く止めるにゃ……」


 もうわれのHPはゼロにゃ。


「あとちょっとだから我慢しなさい。

 ほんとにあと少しで着くから」

「にゃげぇぇぇ……」



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