7にゃ にゃんこ。浮気をする


「なんにゃんだこれは!?……じゅるり」

「これは、私の母のお店で出している、特製海鮮丼です!ちなみにこの刺し身は、今朝取れた物ですよ」


 それには聞き覚えがある。


「にゃ!?

 それはきゃちあんどりりーすにゃね?」

「………いえ。違いますよ?」


 あれ?

 われの記憶大丈夫か?


「そんなことより早く食べるにゃ!

 にゃーん………?……にゃーん………?

 おい!」

「は、はい?」

「にゃんでにゃーんしにゃいにゃん!?」

「あの……にゃんにゃん言ってて、聞きとれないんですけど……」


「にゃにゃ!?

 そんにゃこと知らにゃいにゃ!

 むぅ………」


 どうしよう。

 われは一人でご飯を食べれない。

 目の前の女に食べさせてもらうのはちょっと気が引ける……。

 ほんとにどうしよう。


 ピコリとわれの頭の中で!が浮かんだ。

 そうだ。

 こういう時は、いつも呼んだらどこからかすぐ来る、あいつを呼ぼう。


「リーラ」

「―ッス。はい」


「っえ!?いつの間に……?」


 やっぱり来た。

 目の前の女はびっくりしてる。

 ふふん。

 なんかわれが誇らしいな。


「にゃーんするにゃ!!」

「わかりました。

 では、失礼します」


 リーラは、スプーンで掬ったものをわれに近づけ……


「「にゃーん」」

「もぐもぐ……」


「「にゃーん」」

「もぐもぐ」


「「にゃーん」」

「もぐもぐ」


「あの………」

「お静かにお願いします」


 女が、意味が分からず聞こうとしたがリーラに妨げられ、口を閉じた。


「「にゃーん」」

「もぐもぐ」


「これはミーニャ様がご飯を食べる時の、お決まりなんです」

「は、はぁ……?わかりました……」


 女は、理解できなかったが儀式か何かなのだろうと、自分で勝手に解釈した。


「「にゃーん」」 

「もぐもぐ」


 それは何度も何度も続いた。



♡★♡★



「にゃぷ〜食ったにゃ食ったにゃ……」


 ぷてっとした白いお腹を突き出し、お腹を擦っている。


「本日もいい食べっぷりでした」

「にゃふっ。

 ありがとにゃ。

 にしてもこの食べ物はなんにゃ?

 赤いやつに白いやつ。

 あとおちるに、カテオの味がしたんにゃけど?」 

「ミーニャ様。

 お口失礼します」

「んにゃ」


 リーラがわれの口を拭いてきた。

 口の汚れなんてぺろって舐めるのに……。

 まったく、きれい好きなんだから。


「さっき説明したんですけど……」

「なんのことだにゃ?」


 この女は何を言ってるんだ?


「……………おバカな猫さんだね」

「にゃふー!

 何にゃその言い方………。

 われは魔王にゃぞ!」

「…………かわいい魔王様もいるんですね?」


 女はわれのことを見てニコリと笑った。


「っにゃ………」


 かわいい。

 ………浮気じゃないよ? 

 われは、アネット一筋。

 浮気なんてそんな……あっ、かわいい。


「貴様。

 魔王様を侮辱したな?」

「え?ちょっ……?」


 われがあんな事やこんな事を妄想していたら、大変なことになっていた。


「死ね」

「リーラ」

「っは!」


「われの友(餌をくれる人)をヤるつもりか?」

「い、いえ……。

 申し訳ございません」


 決して浮気ではない。


「にゃふ!わかればいいにゃ!

 で女、名前はなんにゃ?」

「シニス・クネイです……」

「んにゃ!

 おまえをわれの、ご飯係に任命するにゃ」


 まったくこれっぽちも自分の近くを職場にして、あわよくばなんて考えてないとも。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る