第13話 ~叫~

僕は野良だ


好きに走る

好きに鳴く


主様の所へ行きづらくなって

僕は毎日とぼとぼ歩く

狩りも上手くいかなくて

毎日疲れていた


もう嫌だなぁ・・・

どうしたらいいんだろう


そんな時

野良仲間に出くわした

いつもは大人しいブチだ


〈浮かない顔してるやん〉

んー・・・


〈主様かい?〉

べつにー・・・


〈俺ら野良が人間と関わるから〉

仕方ないでしょー・・・


〈飼う気もない人間やろ?〉

違う、僕が決めたの


〈猫は猫でまとまるのが一番〉

そんな事どうでもいい


相容あいいれないのは解ってるくせに〉

解らないよ!


〈同じになれるわけない〉

・・・うるさいな


〈期待したって無駄や〉


うるさいうるさいうるさい!!!

仕方ないだろう!

だって僕が!

大好きになってしまったんだ!


主様とは言葉が通じない!

解らない!解らないから!


辛いんだ!!!


僕が一方的に好きになったから

勝手に手土産を持っていく

主様の望みに

適ってないのは解ってる


主様が望むのは

人間の知恵

人間の世界

人間の持つもの


僕には持てないもの


どうして僕は

人間じゃないんだ

なりたくても

どう頑張っても

人間にはなれない


主様の望むものに

僕はなれない


まだ幸福を運べる存在じゃない


じゃあ、どうしたらいいの

ねぇ、どうしたらいいの


助けてよ主様

わかんないよ

教えてよ

僕どうしたらいいの!


僕はただ

寂しいよ

悲しいよ


僕は黒猫だ


それでもまだ

幸福そのものじゃない


いつなれるの

努力しても

頑張っても

長い事かかれば

意味が無い

主様は

僕を待つわけじゃない


どうしたら

僕をみてくれるの

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