今日悪いことをした。ちょっとした出来心だったんだ。

今まで誰にも迷惑を掛けずひっそりと生きてきたから。

誰よりも真面目に生きてきたから

誰よりも苦しんできたから

善人であろうとした。でも気づいてしまった

いつしか気づいてしまったから。真面目に生きている人より嘘をついて、周りに迷惑を掛けている人間のほうが得をするって。屑で塵で性根が腐った人間のほうが生きていて楽しいって。どんなに取り繕ったって、どんな綺麗事を言ったってそこだけは変わらないから。自分を犠牲にしてまで成し遂げた誰かの笑顔より、誰かを殺して手に入れた名声のほうが価値があるって気づいたから。気づいたから。

だから今日悪いことをした。

少しくらい許されると思って、今まで頑張ってきた僕なら許されると思って。

でも許されなかった。怒られた。塵を見るような目で見られて。罵られ殴られた。

となりで悪い事をしている奴には怒らなかったくせに。

世界は残酷だ。ひどいくらいに残酷で苦しくて理不尽で不公平だ。

神様、世界を作ったあなたを恨みます。