料理、鉄道、ノスタルジック

 全体的にふんわり優しいのに、話の緩急エグい。
 乗客はのんびりと景色を、静かな車内で見よんけど、汽車の真下は轟音でせわしなく車輪駆動しとるようなもん。
 作家やなあ。プロの所業やなあ。
 ピリついた場面の緊張感、厨房の慌ただしさ、石炭を運ぶ人の汗、音が聞こえてくる。熱が伝わってくる。匂いがある。
 言わずもがな、お料理の描写は絶品です。
 一品ごとにじっくり味わいたい。
 ノスタルジックな世界から途中下車するたびに、ああ、ええ旅路やなと感嘆の溜め息。大仕事をやり遂げたような満足感。
 鉄道、汽車の描写もたまげたもんで、だからこそ安心して乗り込むことが出来る。
 素晴らしい作品と出会えて、光栄です。

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