第1話「祐徳稲荷神社門前商店街」①

※場所は前線カフェになる前の空き店舗状態の頃。大家は年配の女性(年の功は80歳代くらい)。(※)内は演出指示です。




蒼羽あおば:「これで説明は終わりですか?」




大家おおや:「そうね。一応、契約書も書いたし、本当はこれで最後になるけど」




蒼羽あおば:「なんです?」




大家おおや:「いつもならね。あとは、ここのカギのかかった扉は決して開けない…」




蒼羽あおば:「そうですね。絶対に入ってはいけないんですよね。」




大家おおや:「そうね。入ってはいけないけど、あなたの所のさんが…ま、まあ、アレだからあなたには秘密は伝えないといけない」




蒼羽あおば:「うちのが…は、よく分からんですが、秘密とは?」




大家おおや:「この話は絶対に他には漏らさない。約束できる?この門前商店街もんぜんしょうてんがいみんなにもずっと秘密にしてることよ…。」




蒼羽あおば:「うーん、秘密にされていることなら、特にお伝えしない方が良いのでは?」




大家おおや:「できることなら教えたくないけど、今回ばかりはどうしても無理があるのよ。どちらにしろ、ここであなたが、あのライ、(※わざとらしくせき込む)あのさんにお店を任されてるなら、いずれ分かってしまう事。それが早いか遅いかの違い。先に伝えておいた方が少しは楽かと思って」




蒼羽あおば:「まあ、あのが関係してるなら、何かあるんでしょうね。秘密にします。聞かせてください。」




大家おおや:「ここは"おとぎ前線"なの。この秘密は歴代の宮司ぐうじさん一族と大家おおやである私の家系だけの秘密なんだけど…。」




蒼羽あおば:「""?って何ですか?」




大家おおや:「冗談だと思って聞いてね。あなた、この世界以外に別の世界があるかもって思ったことは?」




蒼羽あおば:「別の世界ですか?最近、アニメなどで流行っている異世界とかですか?(※怖そうに)それとも霊界とか…。」




大家おおや:「異世界とかアニメとかは分からないけど…。"霊界"とか"天界"とか"魔界"とかで呼ばれてるわね。その世界と現実の世界の境界線が”おとぎ前線”。それがこの扉の先にあるの。このカギがかかった扉の先に…。」




蒼羽あおば:「(※豪快に)ハハハハハ、大家さんがおっしゃっている事なので信じますよ。(※冗談だと思ってる風に)勿論、秘密にします。」




大家おおや:「まあ、いいわ。秘密にしてくれると約束してくれるならそれでいい。秘密を破ったとしても…(※間を少し開ける。苦笑い風にボソリと)あのがどうにかするでしょう。」

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