最終話ー幸せは永遠にー
「痛くはないか?」
「ええ、オスカー様はお優しいですから」
「そうか…良かった」
オスカー様に包帯を巻かれながら身を寄せる
今まで感じたことないこの気持ちを落ち着かせたくて、オスカー様につい甘えてしまう
それが嬉しいのかオスカー様は包帯を巻き終えると私をぎゅっと抱き寄せる
優しく暖かいオスカー様の手と私の手を重ねると
指を絡ませながらそっと引き寄せられる、お互いの顔が近くなる
「ルナ…」
耳に溶けるようなオスカー様の言葉が響く
「オスカー様…」
抱き寄せられ、唇が重なる
私にとって初めての経験でそしてオスカー様も初めてだ
お互いの今までの時間を埋め合わせるように唇を重ねた
気持ちを確かめ合うように
嬉しくて、暖かくて、優しくて
思わず涙がこぼれた
一筋流れ落ちた涙をオスカー様が拭うと、私の頭を胸に抱きよせてくれた
安心させてくれるように
私もそれにこたえたくて、力強くオスカー様に手を回す
「君には悲しい涙はもう流させない、絶対に、これからは嬉しい涙しか流せないからな…覚悟しろ」
「ふふ、覚悟ですか?」
「そうだ…気の利いた言葉は言えないが…俺は君を愛している、だからずっと俺の傍にいてくれ」
「ええ、私もオスカー様を愛しております…今まですれ違った時間を埋めましょう…ずっと貴方のおそばにいさせて下さい」
二人は再び唇を重ねた
お互いの愛を感じながら
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その後
ギリシア王国はめざましい発展を遂げた
第一王子のオスカー・ギリシアが正式に王となり
貴族達をまとめ上げ、民が安心して暮らせるように導いたのだ
オスカー王は王となったと同時にルナと正式な結婚を発表した
顔に傷のあるルナに初めは戸惑いを見せた人々だがルナ王妃の優しさに皆が心を改めた
その優しさは民を安心させ、大勢の人々が結婚を祝った
第二王子のアルベルト王子は素行の悪さが露呈して国外追放となった
気が狂っていたアルベルトは抵抗もなく項垂れていたが
最後に遠くに見えたルナ王妃に頭を下げたという
ルナ王妃のメイドであったマリアンヌはギリシア王国騎士団に入団
その圧倒的な実力によって指導者となり、騎士団を強化し、王国の守りを確固たるものにした
歴史によるとオスカー王とルナ王妃の後ろには必ずマリアンヌ騎士が控えており
ギリシア王国の守護剣として名を残した
オスカー王はその敏腕によって争いの絶えなかった他国とも友好を結び
また各国をまとめ上げ同盟を結び、盟主として名を残した
その功績の裏ではルナ王妃の優しさによって争いを止め、同盟を結んだ国もあったという
同盟は今でも続き周辺国家間の争いは完全に途絶えた、オスカー王とルナ王妃の像はいまでも綺麗に残されている
平和と優しさを象徴する像として
永遠に続く平和をのこした二人として
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「ふぐ…ふぐ…おかぁ………さん…」
「どうしたの?ウィリアム」
「この傷…妹を守った時にできた傷…お医者さんが傷跡は残るだろうって…王子の僕がこんな傷跡があれば皆…残念に思うよ…」
「あら?私はそう思わないわ…その傷は妹を守った時にできた優しい傷じゃない、優しい勲章よ!お父さんも同じ勲章を持っているのよ、だからあなたはきっと素晴らしい王様になるはずよ」
「ほ、本当に?」
「ええ、きっとね…だから安心して妹と仲良くね?」
「うん!!」
笑顔で妹の下に向かう息子のウィリアムを見送りながら、夫であるオスカーに頭を寄せた
「ふふ、貴方にそっくり…」
「あぁ、君にもよく似ているよ…君の優しい子供達だ」
歴史にはこう残っている
オスカー王は同盟を結び、平和を盤石なものにすると息子である
ウィリアムを王にした、ウィリアム王は妹であるサンマリアと共に同盟国家間を導いたという
王を退位したオスカー王とルナ王妃は別荘で静かな余生を過ごした
二人、いつまでも離れる事はなかった
永遠に
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ここまで読んでいただきありがとうございます
本編はここで完結です
この先からは本編では掘り下げることができなかった話を数話投稿予定です
一応、軽くですがざまぁ要素があります
よければ引き続き読んでいただけると嬉しいです。
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