雷神合体 ゴオライガー
赤城ラムネ
第1部「雷神合体ゴオライガー」
第1部「プロローグ」
プロローグ
宇宙。
どこまでも広大に広がる漆黒の空間。その漆黒の空間を照らすように、無数の光が瞬く。
あまりにも大きく、そして美しいその空間は、人の心を吸い込むように引きつけ、また、恐れさせる。
今、一つの宇宙船が、漆黒と光の空間を進む。数十年も前に地球から出発したその無人の探査船は、一枚の金色に輝くレコード盤を乗せて、漆黒と光の空間を航海するはずだった。
どこまでも。
しかし、その航海は不意に終わりを告げる。
宇宙船の前に現れた、巨大な別の宇宙船。あまりにも巨大な様は、まるで宇宙に果ての壁が現れたかのようであった。球体を中心に細長い直方体を配置したような形の宇宙船の周りには、その宇宙船に比べたら小さく、だが全長数百メートルはあろうかと思われる楔形の船が何十隻も浮かんでいる。何十隻もの船は、そのほとんどが、砲台を備えた戦闘艦であるようだった。
○
球体の巨大な宇宙船の中、艦橋にあたる部分、そこは驚くことに日本の一般的な会社の事務フロアに似ていた。細かな調度品の違いはあれ、規則正しく並んだデスクや椅子、そこで作業する、まるでビジネススーツのような服に身を包んだ、人類と酷似した生物。急に、オフィス街の会社のビルに紛れ込んだ錯覚に襲われる。だがここは、間違いなく地球外の生命体が活動する宇宙船の中である。
事務フロアにしか見えない並んだデスクの間を通って、一人のスーツ姿の男性と思わしき者が、金色に輝くレコード盤を持って奥へと歩く。歩くたびに、両側のデスクからざわめきが起きる。その表情は歓喜であったり恐怖に怯えるようであったり実にまちまちであったが、総じて驚きに満ちていた。
レコード盤を持つ男の、こめかみをすうと汗が伝う。それは空調の暑さなどからではなく、明らかに緊張によるものであることは、微かに開いた唇の小さな震えが物語っていた。
「お持ちしました」
規則正しく並んだデスクの最奥、ひときわ豪華な造りをしたデスクの前で男は言った。
「あの宇宙船に入っていた物です」
うわずる声の主を、豪華なデスク越しに男が見上げる。見上げた男の身なりは、豪華なデスクと同じく他の者たちより一段と高価そうなスーツであった。スーツに包まれた均整の取れた長身は、一見すると細身だが、服の上からでも分かるほどしっかりと鍛えられていた。端正な顔立ちに浮かぶ眼差しは、鋭く力強い。不思議な薄緑色の長髪が体の動きにあわせてサラリと揺れた。
緑の髪の男は金色のレコード盤を受け取り、一瞥すると立ち上がり、仰々しくこう言った。
「これより侵攻を開始する。目標、太陽系第三惑星『地球』!」
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