第36話 第12話

その日夜。

俺は沢田昌平の家に行った。


「こんばんは。お邪魔していいですか?」

「いいよ」

本心はわからないが、表面上の彼は人のよさそうな顔をしている。

事実はそうではない事を俺は知っている。


翌日が早いからと言って、彼は夜10時を回るとすぐに眠りに落ちた。


僕は藤田しげるの時と同じように、寝顔を一枚写真を取った。そしてまぶたには目を、右頬には「犯」左頬には「人」と、落書きをして、置き手紙を残して、家を出ようとした時だ。


一本の電話が鳴った。

藤田しげるのようだ。もしかして、ばれたのだろうか?


「あ、もしもし。どうしました?」

「ーーどーした?じゃない。お前、よくもこんな事をーー」

藤田しげるは激怒している。

「ほんとにどうしたんですか?」

俺は真面目な顔で聞いた。

「ちょっと家に来い!」

藤田しげるが言う。

「ーーわ、わかりました」

山崎太郎に連絡して、明日の約束をとりつけてから、仕方なく俺は藤田しげるの家に行った。


「ーーおい、これを見てみろ」


しげるはケータイを俺に見せた。

それはメールの画面だ。


「ーーお前なんか死んでしまえ!!」

「人殺し」


同じような内容の誹謗中傷メールが、数100件も届いていた。


「ーーどーゆー事だ?と言われても、俺には一体何の事だか??」


そう言うしかないじゃないか。と思った。


「本当に、、お前じゃないのか?」


「そもそも知らないアドレスばかりですよ」


「なんで、こんなメールが届くんだ??ーー俺じゃないのに」

不思議そうに首を傾げている。

精神的におかしくなりそうな藤田しげるを支えるようにして、俺はこの日、その部屋に泊まった。



次の日、朝。

何食わぬ顔で僕は帰る。

帰り際の俺に向かって藤田しげるが言った。

「ありがとう」と。

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