第18話 討伐隊
ジルの後ろ脚の具合を馬主に伝えてから宿に戻る途中にギルドの前に人だかりが出来ていた。何かあったかと眺めていると人混みの中にマットの姿を見つけた。
「マット、何の騒ぎ?」
「おお、ジンか。
「へぇ、俺も参加できるかな?」
「
「でも、森に入って狩りを見られるんだろう。なら参加したいな」
「
「大丈夫、大丈夫。そこは何とかなるよ」
「まあ手上げするのは自由だからお前がいけると思うなら止めはせんけど、ほかの冒険者を当てにするのだけはやめとけよ。そこまで甘くないからな」
「分かってるって」
中に入って申し込みをしようと受付に行くとこの件の担当はミランダだった。
「登録したての新人がこなせる程楽な仕事じゃないよ。ホントにやるのかい」
「ああ。いつかやらなきゃいけない事なら今やるよ。次がいつ来るか分からないしね」
「他の冒険者の足引っ張るような事だけはしないようにしな。あんたが怪我したり死んだりするのも迷惑なんだから、ちゃんと生きて自分の足で帰ってきなよ。はい、採用」
ん?ぶっきらぼうな物言いだけど意外といい人なのかもね。ちょっとツンデレの気配が。不器用なだけなのかな。
マットの言う通り、荷物持ちはリスクの割に稼ぎが少ないようで、なり手が少なくあっさりと採用された。一つ星や二つ星はみんな若いから体が小さく、多くの荷物が持てない。俺は体格だけで即採用だったみたい。
アレックスも同じような理由で即採用。無理しなくていいって言ったんだけどね。
翌日の集合時間にギルドの前に行くと、マットも含め既に何人かは集まっていた。
「おはよう。もう出られそうだな」
「おう、ホントに来たのか。お付きの兄ちゃんまで。後は今日のリーダーの月影の連中が来てから簡単に打ち合せして出発だ」
参加するのは4人組パーティーが1組と5人組パーティーが2組、マット達ソロが3人の17人がメインで、荷物持ちは俺たちを含めて5人の計22人だそうだ。
三つのパーティーは攻撃力もさることながら魔法士の腕で選ばれたらしい。ギルドも魔法が使える
「みんな揃ってるな。知ってる奴もいるだろうが俺が月影のラントだ。今回はよろしく頼む」
現れたのは金髪くせ毛の立派なイケメン。厚い胸板に太い腕。動きを重視した鎧を纏っていた。
その後ろには女性が3人とゴツイオッサンが一人。
オッサンはデカい盾とハルバートを背負ってるから
僧服の女性が
最後の一人は革鎧で弓を背負ってるから
理想的なパーティー構成だな。しかも女性はみんなかわゆい。
ハーレムやんけ。くっ、リア充爆ぜろ。
残りの連中はオッサン臭しかしません。危ない仕事だからこっちが普通か。
目的地までは森の中を二日ほど進むらしい。順調にいって街に帰れるのは五日後か。大変そうだけど初遠征だからな。ゆっくりと楽しませてもらおう。
半日ほど道を進んでから森に入った。暫くは獣道があったが今は下草が生い茂る中を進んでいる。
幸いなことに
陽が落ちかけた時に見つけた樹木の少ない場所で、下草を刈って野営の準備を始める。近くに水場が欲しい所だが贅沢は言えない。でも、
超能力って錬金術的なのはないよな。何もない空間に何かを作り出すみたいなやつ。これは魔法が有利なのか。でも俺一人なら瞬間移動で街に戻ればいいだけだからあんまり必要もないんだけど。異次元ポケットもあるし。
焚火で俺のインチキ火魔法の出番かと思ったら魔法使いが火も点けてくれました。
焚火に何やら粉を振りかけてる。魔物が嫌いな匂いを出す粉なんだと。燃やしとくと魔物や動物が近づかないらしい。蚊取り線香みたいなもんか。
メニューはまだ新鮮な野菜と兎肉のスープと燻製肉とパン。みんなガタイがいいけどこれで足りるんかな?
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