第十二夜「闇と光の星」

 そこは、闇に漂うイーグルと同じ様な環境の星だった。とある太陽系の恒星の周りを巡る惑星なのだが、その惑星は自転していなかった。常に惑星の半分だけを太陽に見せる形で公転を続けて居た。惑星の片面は常に昼、片面は常に夜と言う奇妙な惑星だった。

 その星の闇の部分に住む生命に眼という気管は必要無かった。何故なら暗闇で物を見る必要は無いからだ。同じ様に眼を持たない生物は地球の深海にも存在する。しかし、それに代わる器官は鋭く、ある意味、眼よりも鋭い観察力を持っている。そして彼等は全員、イーグルと同じ様な能力を持っていた。彼等とコンタクトしたイーグルとの会話は、それは地球代表と、その惑星連合の会議宛らとなった。

「イーグルと言ったね?」

「ええ、そうです。私の名はイーグルと言います。」

「君達の目的は何題?」

「はい、私達の文明は行き詰っています。それを解決する為に、宇宙に呼びかけて知恵を求めて居ます。」

 イーグルの言葉を聞いた者たちから一斉に質問が飛ぶ。

「知恵を求める?」

「君達は自分たちの知恵を最大まで使ってみたのかね?」

「その意思は君の星の意思の総意なあのかい?」

「努力は最大限だったのかね?」

 イーグルは一遍に質問攻めに遭い、珍しく困惑した。はっきり言って、僕は呼ばれたから出て来ただけだと。知恵を出し切ったかと聞かれれば、確かに疑問が残る部分も有るし、自分の意思が、地球全体の総意かと言われれば、首を傾げる部分も有る。しかし、イーグルはこう答えるしかなかった。

「その通りです。地球人類は全ての知恵を出し切りました。そして、希望を他の星の文明に求めるのは地球の総意です。」

 そう答えては見たが、イーグルの心には色々な言い訳が浮かんで、つい口に出しそうにも成った。

「君は君自信の本心を我々に伝えてないね?」

「え…?」

 イーグルは図星を突かれて言葉を失った。

「地球人はもう少しだけ自分達の知恵を使って見る気は無いのかい?」

「…それは」

「宇宙に語りかける力があるのならもう少し自分達で考えて見たら…」

「分かりました、そう報告してみます。」

 イーグルは意味も無く自分が恥ずかしくなった。そして反省の念に襲われる。自分は彼らを見下していたのではないか、闇に住む者に知恵など求めることは出来ないとはなからタカをくくっていたのではないか。命を上部だけで判断していたのではないかと。

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